理想的な受験生の生活の落とし穴
▶「日常会話」何も会話をしない日がある/重要度★★★★★
次のある現役生の1日を見てください。
「7時に起床。朝ご飯を食べて、電車を乗り継ぎ8時30分に登校し、夕方まで真剣に授業を受ける。昼休憩や授業間の休み時間も黙々と参考書を読み続け、17時に予備校に移動。ここでも夕食を食べながらひたすら講義を聞き、22時まで勉強して23時に帰宅。風呂に入り、24時に就寝」
同じくある浪人生の1日も紹介しましょう。
「7時に起床。朝ご飯を食べて、9時に予備校に到着し、勉強を開始。12時の昼休憩も、ご飯を食べながら単語帳を読む。13時からの講義は黙々と聞き、18時まで習った範囲の復習をやる。夜休憩も食事をしながら暗記にいそしみ、22時まで勉強して23時に帰宅。風呂に入り、24時に就寝」
いかがでしょうか?
毎日起きたら学校や予備校で朝から晩まで黙々と勉強。これは側から見たら理想的な受験生に見えますね。京都で一人暮らしをしていた9浪目の私も、実際にこのような生活をしていました。
しかし、一方でこのやり方は危うさもはらんでいます。
「人と話をしていない」ことです。
実は、人間はたった数ヶ月このような状態が続いただけで、いとも簡単に人と話すことができなくなってしまいます。
私は仕事をしながら予備校に通っていたこともあり、人の話を聞くこと、話すことには自信がありました。しかし、最後の1年ずっとこうした生活をしていたため、満足に人と会話ができなくなってしまったのです。
たまに予備校の仲間に話しかけられても、頬の筋肉が吊ったり、サ行の発音がうまくできなくなったりしましたし、会話のキャッチボールができずに暴投を放ったりしてしまうようになりました。
私は孤独になってしまいました。
こうなると精神的・肉体的に相当な負荷がかかり、受験勉強に悪影響を及ぼします。
最後の1年、同じ予備校の友達をほぼ作ることができなかった私は、情報面で孤立しました。その上、大学に行っても友達ができないのではないかと思い悩み、疎外感から勉強に集中できなくなることもありました。
受験は日常生活の延長です。日々の生活に勉強を加えるくらいが理想です。私のようにすべてをシャットアウトすると、合格して元の自分の姿に戻すのに数年かかるでしょう。
あまり自分を追い詰めないためにも、家族や仲間との会話を心がけましょう。