(※写真はイメージです/PIXTA)

浪人生が毎日起きたら学校や予備校で朝から晩まで黙々と勉強します。これは側から見たら理想的な受験生に見えますが、そこには大きな危険が潜んでいます。9浪して27歳で早稲田大学に合格した濱井正吾氏が著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

理想的な受験生の生活の落とし穴

▶「日常会話」何も会話をしない日がある/重要度★★★★★

次のある現役生の1日を見てください。

 

「7時に起床。朝ご飯を食べて、電車を乗り継ぎ8時30分に登校し、夕方まで真剣に授業を受ける。昼休憩や授業間の休み時間も黙々と参考書を読み続け、17時に予備校に移動。ここでも夕食を食べながらひたすら講義を聞き、22時まで勉強して23時に帰宅。風呂に入り、24時に就寝」

 

同じくある浪人生の1日も紹介しましょう。

 

「7時に起床。朝ご飯を食べて、9時に予備校に到着し、勉強を開始。12時の昼休憩も、ご飯を食べながら単語帳を読む。13時からの講義は黙々と聞き、18時まで習った範囲の復習をやる。夜休憩も食事をしながら暗記にいそしみ、22時まで勉強して23時に帰宅。風呂に入り、24時に就寝」

 

いかがでしょうか?

 

毎日起きたら学校や予備校で朝から晩まで黙々と勉強。これは側から見たら理想的な受験生に見えますね。京都で一人暮らしをしていた9浪目の私も、実際にこのような生活をしていました。

 

しかし、一方でこのやり方は危うさもはらんでいます。

 

「人と話をしていない」ことです。

 

実は、人間はたった数ヶ月このような状態が続いただけで、いとも簡単に人と話すことができなくなってしまいます。

 

私は仕事をしながら予備校に通っていたこともあり、人の話を聞くこと、話すことには自信がありました。しかし、最後の1年ずっとこうした生活をしていたため、満足に人と会話ができなくなってしまったのです。

 

たまに予備校の仲間に話しかけられても、頬の筋肉が吊ったり、サ行の発音がうまくできなくなったりしましたし、会話のキャッチボールができずに暴投を放ったりしてしまうようになりました。

 

私は孤独になってしまいました。

 

こうなると精神的・肉体的に相当な負荷がかかり、受験勉強に悪影響を及ぼします。

 

最後の1年、同じ予備校の友達をほぼ作ることができなかった私は、情報面で孤立しました。その上、大学に行っても友達ができないのではないかと思い悩み、疎外感から勉強に集中できなくなることもありました。

 

受験は日常生活の延長です。日々の生活に勉強を加えるくらいが理想です。私のようにすべてをシャットアウトすると、合格して元の自分の姿に戻すのに数年かかるでしょう。

 

あまり自分を追い詰めないためにも、家族や仲間との会話を心がけましょう。

 

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本連載は濱井正吾氏の著書『浪人回避大全 「志望校に落ちない受験生」になるためにやってはいけないこと』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

浪人回避大全

浪人回避大全

濱井 正吾

日本能率協会マネジメントセンター

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