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米国の中間選挙を受けて…今後の経済見通し

米国の中間選挙は、上院では民主党が事実上の過半数となる50議席を確保し、下院では共和党が過半数を確保する見込みです(11月15日時点)。このとおりなら、①(上院の承認が必要な)閣僚や裁判官の人事などは進められるものの、②予算では共和党との調整が必要です。

 

そもそも高いインフレに悩まされていますので、民主・共和いずれの党からも景気を刺激するような財政政策はおそらく出されないでしょう。逆に(共和党が忌避する)増税が実施される可能性も低いでしょう。

 

言い換えれば、今回の選挙結果が、すでに成熟期にある米国経済に与える影響は限定的であり、引き続き、政策の面から景気の行方を左右するのは金融政策でしょう。

 

少し足元の米国経済に触れると、[図表1、2]のとおり、個人消費と設備投資は依然として堅調さを保っています。

 

[図表1]米国の個人消費支出(物価調整後)
[図表1]米国の個人消費支出(物価調整後)

 

[図表2]米国の資本財新規受注(非国防、航空機を除く)
[図表2]米国の資本財新規受注(非国防、航空機を除く)

 

他方で、A.大手テクノロジー企業や投資銀行からは雇用の大幅削減や新規雇用停止の話が聞かれ、B.大手の仮想通貨業者が破綻するなど、「ブーム終了の典型」が現れており、これらがのちに「景気後退の先行サイン」といわれる可能性もあります。

 

特に雇用と、金融市場での流動性を中心に注意深くみていく必要があるでしょう。とはいえ、それは突然に訪れますから、いまのうちから幅広い分散投資で備えるほかに対処のしようがないでしょう。

2023年の注目点3つ…「支援疲れ」がキーワードか

話を、米国の政治に戻しますが、筆者は、2023年の注目点は2つ(プラス1つ)あると考えています。

 

1.【国際政治】ロシアとウクライナの戦争が「停戦」にいたるかどうか
2.【国内政治】共和党の大統領候補者指名争い
3.(【世界経済】米国が景気後退に行くかどうか)

 

1点目(停戦)については、下院の共和党議員のなかには、(下院議長に就任する見込みである)マッカーシー院内総務など、ウクライナへの支援を懐疑的にみる向きもあります。北太平洋条約機構(NATO)の予算配分と同様に「米国というより、欧州が支援を強化すべき」という考えも含まれるでしょう。

 

その欧州では『支援疲れ』がいわれており、これが2023年のキーワードになるとみられます。おそらくは厳しいであろう今冬を経験し、欧州各国内の野党勢力や有権者の一部からの反発がさらに強まる可能性も考えられます。そうした事態は、欧州地域の結束に悪影響を与えます。

 

仮に停戦となれば、資源価格は下落し、株価は上昇する流れが考えられます。ただし難しいのは、停戦の前にロシアの指導者の態度が硬化して、戦線が悪化するリスクが依然として排除できないということです。特に西側諸国の瀬戸際外交には要注意でしょう。

 

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