今後投資家に不可欠な「国際政治」の視点
2点目(共和党の大統領候補者指名争い)については、中間選挙の結果を受けて、激化する可能性があります。
米ワシントンポスト紙は、出馬が考えられる候補として、
・ロン・デサンティス・フロリダ州知事
・グレン・ヤンキン・バージニア州知事
・マイク・ペンス前副大統領
・クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事
・ニッキー・ヘイリー元国連大使/元サウスカロライナ州知事
・マイク・ポンペオ元国務長官/元CIA長官
・ティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州選出)
を挙げています。
他方で、民主党からは、バイデン大統領が再選を目指す可能性があります。仮にそうでなくとも(景気後退が相当に深刻でない限り、たとえばバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員のような極左の候補者ではなく)、おそらくはバイデン氏のような中道寄りの候補者が支持されるとみられます。
共和党の大統領候補に勝つためには、今回のように「真ん中に近い」無党派層や穏健派の共和党支持層を取り込む必要があるためです。
今回の中間選挙で、共和党が大勝できなかったことで、同党でも幾分中道寄りにシフトする可能性があります。共和党の候補者指名争いは2024年の大統領選挙後の国際政治や米国経済に影響を与えるでしょう。
1991年の冷戦終結以降、米国同時多発テロの時期を除いて、マーケット参加者は、新興国の運用担当者でもない限り、もっぱら経済のことを考えればよかったわけです。企業も、世界のほとんどどこにでも工場を立地し、店を出すことができました。
しかし、そうした「平和の時代」は過ぎ去ったようにみえます。今後は、国際政治や国際関係が経済合理性を制限する状況になるでしょう。資産運用のアドバイザーにも、経済のみならず、国際政治の視点が求められるように思えます。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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