(写真はイメージです/PIXTA)

賃借人が「立退料」を受け取ると、課税の対象となることがあります。しかし、受け取った「立退料」の性質により税金が異なるため、確定申告の際には注意が必要と不動産法務に詳しい森田弁護士はいいます。詳しくみていきましょう。

消費税がかかる場合・かからない場合

先ほど解説した消費税の要件に当てはめて、受け取った立退料が消費税の課税対象となるかどうかみていきましょう。なお、そもそもこの問題が生じるのは、立退料を受け取った者が事業者である場合のみです。個人が自宅として使用していた物件から立ち退く場合に受け取る立退料には、消費税はかかりません。

 

「営業補償金」としての場合

店舗の立ち退きをする場合には、その場所で営業を続けていれば得られたであろう金額として、営業補償金としての意味合いで立退料が支払われる場合があります。

 

結論からお伝えすると、この場合の立退料に消費税はかかりません。なぜなら、消費税4要件のうち、「資産の譲渡等の対価」に該当しないためです。このことは、消費税基本通達に、次のように明記されていることからも明らかです。

 

「建物等の賃借人が賃貸借の目的とされている建物等の契約の解除に伴い賃貸人から収受する立退料(不動産業者等の仲介を行う者を経由して収受する場合を含む。)は、賃貸借の権利が消滅することに対する補償、営業上の損失又は移転等に要する実費補償などに伴い授受されるものであり、資産の譲渡等の対価に該当しない。」

 

「移転補償金」としての場合

立ち退きにともない移転をすることの補償としての意味合いで、立退料が支払われる場合があります。この場合であっても、立退料は消費税の対象外です。営業補償金の場合と同様に、「資産の移転等の対価」に該当しないためです。

 

「賃借権の譲渡対価」としての場合

建物を借りて使用している場合には、原則として借家権という権利が発生しています。単に建物から立ち退くのみであれば、借家権は譲渡ではなく単に「消滅」しているのみであるため、消費税の対象ではありません。

 

一方で、たとえば物件オーナー以外にその建物を使いたいという第三者が現れ、交渉の結果、自分がその建物から立ち退いて第三者が建物の使用を引き継ぐ場面があります。

 

この場合にこの第三者から受け取った立退料は、賃借権の譲渡対価としての性質を帯びるといえるでしょう。そのため、この場合の立退料は「資産の移転等の対価」に該当するため、消費税の課税対象となります。

 

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