(写真はイメージです/PIXTA)

賃借人が「立退料」を受け取ると、課税の対象となることがあります。しかし、受け取った「立退料」の性質により税金が異なるため、確定申告の際には注意が必要と不動産法務に詳しい森田弁護士はいいます。詳しくみていきましょう。

賃貸人はどの所得の経費に算入する?

賃貸人が立退料を支払った場合には、原則としてなんらかの所得の経費に算入することが可能です。どの所得の経費として取り扱われるのかは、次の状況によって異なります。

 

・賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料:譲渡に要した費用として、「譲渡所得」の金額の計算上控除されます。

 

・上記以外で、不動産所得の基因となっていた建物の賃借人を立ち退かすために支払う立退料:「不動産所得」の金額の計算上、必要経費になります。

 

原則として、上の2つのパターンのいずれかに該当することとなるでしょう。

 

なお、次のケースでの立退料は、それぞれ次のように取り扱われます。

 

・土地や建物等を取得する際に、その土地や建物等を使用していた者に支払う立退料:土地、建物等の取得費になります。

 

・敷地のみを賃貸し、借地人が敷地上の建物を建てている場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料:借地権の買い戻しと考え、土地の取得費になります。

立退料が非課税になるケース

立退料を受け取った場合には、上で解説をしたとおり、なんらかの税金の対象となります。非課税となることはありませんので、確定申告を忘れないように注意しましょう。ただし、一時所得に該当する場合には、50万円の特別控除額が存在するため、仮に立退料とその年に受けた一時所得に該当する金額の合計額が50万円以下であれば、確定申告や納税をする必要はありません。

立退料を受け取ったときの「消費税」

立退料を受け取った場合、消費税はどうなるのでしょうか? はじめに、消費税の対象取引となる4要件について解説しましょう。

 

1.国内取引であること

消費税の課税対象は、国内取引のみです。国外にある資産を譲渡した場合や国外でサービスの提供が行われた場合には、消費税の課税対象とはなりません。

 

2.事業者による事業であること

消費税の対象は、事業者による事業としての取引のみが対象です。たとえば、個人の中古車販売業者が行う中古車の売買は、事業として行う売買になります。一方、給与所得者がたまたま自分の自家用車を手放す行為や中古品販売サイトで自分の使った中古品を売る行為などは、事業として行う売買ではないため消費税の課税対象外です。

 

3.対価を得ていること

対価を得て行うもののみが、消費税の課税対象となります。たとえば、寄附金や補助金などは一般的には対価性がありませんので、消費税課税の対象とはなりません。

 

4.資産の移転等の対価であること

消費税の対象となるのは、事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付けおよびサービスの提供に限定されます。たとえば、給与の支払いはこれに該当しないため、消費税の課税対象とはなりません。

 

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