とにかく“情報源は批判的に見る”に限る!
ニセ情報を見破る特効薬はないが、私は情報分析官の経験から、次のようなことに留意すべきだと考えている。
大前提として、誰もが情報を発信できる現代、すべての情報は疑って見るべきだ。公開情報はなんらかの意図を持って発信されたものであると考えて、その意図を推察するくらいの注意力は必要である。
情報を批判的に見る方法は、外的批判と内的批判の2つがある。
外的批判とは、情報が「本物か偽物か」を判断し、情報源、情報の成立時点、その情報が独立のものか、それとも他の情報から派生したものかを突きとめること。情報源が本当に「その情報を知る立場にあるか?」「その情報を正しく理解する能力があるのか?」と疑ってかかることが大事だ。情報の批判では、次のような視点が必要である。
- 情報源の記載されていないものは、状況判断には使用しない
ただし、情報の内的批判(後述)は行なう。
- 情報源を不用意に信頼しない
著名人や自称専門家と言われる人の情報、過去の出版物などをチェックし、どの筋の専門家なのかを確認する。また思想的背景、交友関係に着目し、意図的な誘導工作の可能性を探る。
- 取材、手記の類は“盛り付け” “脚色” “意図的な誘導”が常態であると認識する
自伝は自慢話が多く、ノンフィクションと名乗る取材記事では、取材は名ばかりで、自身の恣し意い的な主張を補強するための材料に過ぎない場合がある。
- 情報源の成立時期を特定する
情報源の成立時期と情報の入手時期とは異なる。新しい情報と思っていても、昔の情報の焼き直しであることはよくある。文書情報であれば、その中で使用されている文体や用語が現代的かどうかに注意する。時期が特定できれば、同時期に起きた事柄との比較によって矛盾を見つけられる。重要な事柄を無視していることを発見すれば、その情報の疑義をただす。
複数の独立した情報の内容が一致すれば、その情報は本物ということになるが、現実には、情報源が同一ということも多々ある。人から得る情報、公開情報など異なるフィールドの情報源にアクセスできればいいが、一般のビジネスパーソンではそうもいかない。
だが、「同じことが言われている」「ここにも書かれている」から「この情報は正しい!」と情報を鵜呑みにしないための批判は最低限必要だ。