(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 16,557.31 pt (▲0.23%)
中国本土株指数 5,602.61 pt (▲0.60%)
レッドチップ指数 3,161.93 pt (▲0.37%)
売買代金1,047億3百万HK$(前日1,486億0万HK$)

中国の感染者が4月以来最多で行動制限緩和はいつ?

先週から続いた株高ラリーは8日、一旦落ち着きをみせた。米紙は7日、中国当局が、新型コロナウイルス抑制のための行動制限を撤廃することを検討していると報じた。こうした報道は先週後半から続いており、期待感も高まっている。ただ、政策転換については未確認であり、明確な時期も示されていない。

 

残念ながら、中国国家衛星健康委員会(NHC)が発表した7日の本土新規感染者数(無症状者数含む)は7,475人と今年4月30日以来の最多数を記録した。

 

2022年初のオミクロン変異株の流入を受け、上海や北京など主要大都市でロックダウンが実施されて以降、感染者数は散発的に確認される程度だった。しかし、ここへきてまた、感染急増が目立つ。特に香港・マカオに隣接する広東省での感染はここ数日、目立っている。

 

 

このため、行動制限が緩和されるのか投資家にとっては頭を悩ませる展開となっている。中国当局からは何の手がかりもなく、ここ数日は観測記事ばかりである。

 

先週は、中国当局が経済活動再開や水際対策の緩和に向けた計画を策定していると主張する未確認のスクリーンショットに投資家が飛びつき、株価反騰のきっかけとなった。NHCは記者会見で2度にわたり行動制限を堅持する方針を示したが、マーケットは期待が先行している。

 

足元では、感染拡大により広東省の広州市海珠区など多くの地区で行動規制が採られているが、大規模なロックダウンには至っていない。中国政府は数週間以内に新型コロナ対策の一部を微調整する可能性があることも示唆されるが、厳しい局面はなお続いている。

香港は米中間選挙を控え主要・ハイテク株が軒並み下落

8日の香港市場は3日ぶりに反落、上述の通り感染増加が懸念されたほか、米国中間選挙を控え、様子見の動きが広がった。ハンセン指数は前日終値で一進一退の動きとなり、一時、下げ幅を拡大する場面もみられたが、下値は限定的だった。同指数は前日比0.23%安で引けた。

 

連日の大幅高となったハイテク株中心に売りが散見され、ハンセンテック指数は前日比1.56%安と反落した。新興EVメーカーのNIO(9866)は9.0%安、自動車メーカーの理想汽車(2015)は6.4%安、電子部品の比亜迪電子(0285)は5.6%安と下げが目立った。

 

主要銘柄も下げに転じ、Eコマース大手のアリババ(9988)は3.7%安、フードデリバリーの美団(3690)は2.7%安、保険大手の中国平安保険(2318)は1.9%安、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は1.2%安だった。

 

一方、経済再開で恩恵を受ける銘柄は買いが続いた。香港では、一定条件のもと団体ツアー参加者の検疫を緩和する方針であるほか、先週の金融フォーラムや香港セブンスの開催を受けて、規制も徐々に解除されるとの見方が強まっている。

 

カジノ銘柄などが物色され、大手カジノの金沙中国(1928)、高永利澳門(1128)はそろって3.6%高、銀河娯楽(0027)は2.7%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.43%安の3,064.49、CSI300は同0.69%安の3,749.33と3日ぶりに反落した。明日からの米中両国の経済指標を控え、景気見通しと金融政策の出方を見極めたいとの動きが強まっている。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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