中国政府の行動制限緩和への期待が拡がり、香港市場は連日の大幅続伸 (画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 16,595.91 pt (+2.69%)
中国本土株指数 5,636.21 pt (+2.80%)
レッドチップ指数 3,173.76 pt (+2.48%)
売買代金1,486億0百万HK$(前日1,886億5万HK$)

米国は利上げ姿勢を継続の見通し

先週末発表された10月の米国雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが予想を上回り、雇用市場の力強さが示唆された。

 

このため、米FRBがインフレを抑制する目的で、急ピッチな政策金利引き上げを継続するとの見方が拡がり、短期金利の最終到達点であるターミナルレートの見通しは、発表前よりも上ブレした。

 

金利のさらなる上昇観測は、株式市場にとって警戒感を強める材料となり、先週末は米国株価も下げて取引を終えた。

 

市場の焦点は、今週10日に発表される10月の米国消費者物価指数(CPI)に移っている。

米国の急速な利上げは消費者信頼感指数の低下を誘引

前年比では伸びが鈍化する可能性はあるが、インフレの水準自体は高止まりすると予想される。経済指標からは米国経済は堅調であり、インフレ率も軟化の兆しが見て取れなければ、米FRBの判断が、ハト派に転換することも期待し難い。年内は、現状のような相場展開を覚悟しておいたほうが良さそうである。

 

11月のFOMC会合後、パウエル議長は記者会見で、金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることを示唆した。しかし、金融引き締めの効果も見定めるとしており、政策スタンスの見直しは絶対にないというわけでもない。

 

歴史的に急ピッチな金利引き上げは、米住宅市場の落ち込みや消費者信頼感指数の低下には如実につながっており、影響は考慮しなければならないだろう。

 

中国政府の動きでは5日、中国国家衛生健康委員会が記者会見で、新型コロナウイルス感染抑制のため、行動制限などを実施する従来方針に揺るぎはないことを確認した。これ自体は、先週2日に同委員会が示した見解をなぞるものだったが、マーケットへの影響は限定的だった。

 

足元の中国の新規感染者数(無症状者数含む)は大規模なロックダウン措置が取られた今年5月以来の水準に達しており、中国当局の方針に具体的な変化はない。ただ、中国の経済活動の再開や経済テコ入れに向けた緩和策を探る動きには期待が集まっている。

 

香港は株価反転の見通し。本土は上値が重くも続伸

中国当局の政策転換という点で、7日に注目を集めたのは、中国人民銀行の為替政策である。

 

人民元は、中国経済の減速懸念や米中間の金利差拡大観測から足元元安が続いてきた。7日午前、人民銀行が公表する人民元の公示レートは、1ドル=7.2292元と市場実勢レートよりも、わずかながら元安水準に設定された。

 

同行は、今年8月からの人民元安相場の中、市場予想より元高水準に設定してきたが、このスタンスを変えてきたのである。

 

7日の香港市場は、ハンセン指数が朝方、安く寄り付くもわずか数分で上げに転じ前日比2.69%高で引けた。同指数は10月末、終値ベースで約13年半ぶりの安値を更新し地合い悪化に悩まされたもの、11月に入り株価反転の期待が高まっている。

 

特に、今年大きく売り込まれてきたITテック株の買い戻しが顕著にみられ、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比4.06%高、11月の5営業日で20%もどす内容となった。

 

個別では人工知能開発のセンスタイム(0020)は35.3%と大幅高。中国の工業情報化部は国家製造業イノベーションセンターの設立を承認し、グラフェン、仮想現実(VR)、超高解像度(UHD)映像の3分野の推進を進めることが材料視された。半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)は16.9%高、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)が11.0%高と上げ幅が目立った。

 

不動産株で構成するハンセン本土不動産指数は4.83%高と住宅市場の改善期待にも拍車がかかり、市場をアウトパフォームした。中国不動産開発の時代中国(1233)は16.3%高、旭輝控股集団(0884)は15.8%高、碧桂園(2007)は11.0%高だった。

 

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.23%高の3,077.82、CSI300は0.22%高の3,775.30と続伸した。取引時間中に発表された10月の中国貿易統計はドル建てで輸出、輸入ともに市場予想に反して前年同月比で減少となり、中国の景気悪化への懸念も意識されるなど上値は重い展開となったもの、中国当局の景気テコ入れの期待が相場を支える動きが続く。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO最高経営責任者 国際金融ストラテジスト <在香港>

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004年末に東京三菱銀行(現:MUFG 銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでのウエルスマネージメント事業を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。その後、独立して、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence(限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。
    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得して、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。(香港SFC CE No. BIS009)
    世界の投資機会や投資戦略、資産防衛にも精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。

    ● 個人公式サイト
     「HASEKENHK.com」(https://hasekenhk.com/)

    著者紹介

    連載国際金融ストラテジスト長谷川建一の「香港・中国市場Daily」

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