都内のマンションに住む市原さん(仮名)は、自宅マンションの売却を大手不動産仲介会社に依頼しました。ところが、人気エリアなのにまったく買い手がつかず、仲介会社から希望価格の引き下げをすすめられました。困った市原さんから相談を受けた「不動産エージェント」が調査した結果、不動産仲介会社による物件の「囲い込み」の疑いがあること、本来ならば希望価格より高値で売れるはずであることが判明しました。

「早期」かつ「高値」で売却が成功した理由

担当エージェントAが実践した一つひとつの営業活動が実り、売出開始から2週間程度で3組の内見申し込みが入りました。5,300万円は少々強気の販売価格であり、長期戦も覚悟していたのですが思わぬ反響でした。なかには新潟在住の方からの申し込みもありました。

 

3組の内見は同じ日に、30分刻みの連続にてセッティングされました。連続の内見は、市原さんにとって都合がよいうえに、交代時に各不動産仲介会社と内見者同士がすれ違うことになるので、他にも購入検討者がいることを暗に伝えることができます。購入意欲を高め、買い手候補の早期決断を促す狙いです。

 

内見はいずれも、売主の市原さん、売主の仲介担当者である担当エージェントA、内見者、内見者の仲介担当者、計四者にて行いました。

 

市原さんは居住中で、家具や日用品そのままの生活感に満たされたなかでの内見です。内見者からはさまざまな質問が飛び、それに市原さんが答えていきます。

 

担当エージェントAからも事前に、リフォームに関する資料や周辺物件の取引実績といった資料だけでなく、物件のアピールポイントをまとめた書類なども写真を添えて提供しました。また物件の良い点だけでなく、過去に発覚した不具合やその修繕の経歴、そして現状の傷や汚れなどについても詳細に報告していました。

 

長期修繕計画も事前に調査し、将来的にどのような出費が予測されるかの説明も徹底しました。

 

なかでも新潟から来た方は、スーパーの位置や公園の場所、小学校までの道のりなど、事前に用意してきた細かい質問を市原さんへ投げかけていました。

 

仕事の都合で東京へ転勤となり都内の物件を急ぎ探しているとのことで、2人の子どももこれから成長期を迎えることから、この機会に思い切って広めの物件を購入したく、市原さんの物件に興味津々の様子でした。

 

市原さん自身この地域に長く定着し、子どもも育ててきましたから、生活環境に関する質問責めにも難なく答えることができました。

 

内見者の反応は上々で、3組とも滞りなく終えることができました。内見後さっそく5,200万円での購入申し込みがありました。申込者は新潟から内見に来た方でした。100万円の価格交渉があることから、もう少し時間をかければさらに申し込みがあり、価格を競ることも可能かもしれないと助言しましたが、市原さんは購入申込書の内容でぜひ新潟の方に売却したいとの意向でした。

 

その後はとんとん拍子に進み、速やかに売買契約締結まで至ることができました。

 

買主の話では、物件だけでなく売主である市原さんの人柄に惹かれたこと、そして何より部屋に日常の物たちがある状態での内見が好印象だったそうです。自分がそこに生活しているときのイメージがすぐに湧いたことで、購入申し込みをしたいと感じられたようです。

 

お互い「この方から買いたい」、「この方になら売りたい」という和やかな気持ちのなかで取引ができ、トラブルなく引き渡しまで完了しました。

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悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

悩める売主を救う 不動産エージェントという選択

大西 倫加,長嶋 修

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産売却を検討する人は必読の一冊! 後悔したくなければ「不動産エージェント」を選択せよ! 売主第一主義か?自社利益最優先か? 不動産業者は千差万別! 正しいパートナー選びが売却の成否を分ける――

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