財務相「EV走行距離課税」発言の問題点
鈴木俊一財務大臣は、2022年10月20日の参議院予算委員会において、EVに対する課税のあり方として「走行距離課税は一つの考え方である」と述べました。
走行距離課税とは、自動車の走行距離に応じて税金を課する制度です。その理由として、以下の2点が指摘されています。
・EVにはガソリン税のような燃料に対する課税がない
・EVは車体が重いため、道路の維持補修の負担が増大する
この発言は、EVに関する課税の問題にとどまりません。もし、その場限りの思いつきでなければ、あらゆる自動車について「取れるところから取る」という姿勢を鮮明に打ち出したと解釈できるものです。だからこそ、多くの批判にさらされているとみることができます。
◆「EVにはガソリン税のような燃料に対する課税がない」の問題点
まず、「EVにはガソリン税のような燃料に対する課税がない」という指摘ですが、これは、ガソリン税の正当性を当然の前提としている点で問題があります。
すなわち、ガソリン税は「自動車重量税」と同じく、もともと「道路特定財源」だったのが2009年に「一般財源化」されたものであり、その時点で存在意義がすり替えられ正当性が疑問視されるものです。また、ガソリン税にも「当分の間税率」の問題があります。
◆「EVは車体が重いため、道路の維持補修の負担が増大する」の問題点
次に、「EVは車体が重いため、道路の維持補修の負担が増大する」という指摘ですが、この点については、以下の2つの問題があります。
・自動車重量税との二重課税の問題が生じる
・ガソリン車に対する課税との整合性がとれない
第一に、自動車重量税との整合性がとれず、二重課税の問題が生じるということです。
自動車重量税は、自動車の重量に応じて課税されており、これは、道路に対する負荷の大きさによるものです。走行距離課税を採用する理由が、EVの車体が重いからということであれば、自動車重量税との「二重課税」との批判を免れません。
第二に、ガソリン車に対する課税との整合性がとれないことです。
EV車もガソリン車も、車体重量の分だけ道路に対する負荷が大きくなるのはまったく同じです。そうだとすれば、EV車にもガソリン車にも同じように走行距離課税を行わなければ整合性がとれません。
しかも、もし、ガソリン車もEV車も同様に走行距離課税を導入するのであれば、ガソリン車はこれまでより負担がさらに増大することになります。
このように、わが国の自動車関連税制は、その正当化根拠も含め、きわめて複雑かつわかりにくくなっています。しかし、今後EVの導入が進んでいくにつれ、既存の税制の問題を先送りにすることが困難になっていくことが予想されます。それらを克服し、合理的かつ公平で分かりやすい税制へと再構築していくことが求められています。
\3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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