役員社宅制度とは
役員社宅制度とは、会社が役員のために住宅を借り、それを役員に転貸することをさします。
会社は大家(賃貸人)に賃料を支払い、それを会社の経費(損金)に算入します。そして、役員に対し、賃料よりも低い金額で転貸するのです。実質的に、会社が役員の家賃の一部を肩代わりする形になります。
これは、会社と役員個人の両方にメリットがあります。以下、それぞれについて説明します。
役員社宅制度で会社が受けるメリット:税負担の軽減
まず、会社は、役員社宅の賃料を損金に算入します。他方で、役員から受け取った転貸賃料は会社の利益(益金)に算入されます。
賃貸人に支払う賃料の額(損金算入)と、役員から受け取る転貸賃料(益金算入)の差額だけ、会社のトータルでの利益が減少するので、その分、法人税の額が軽減されます。
また、上記の差額分だけ役員報酬を削減する場合には、社会保険料の削減にもつながります。
ただし、役員社宅という形ではなく「住宅手当」として賃料の一部を支給してしまうと、役員給与として扱われ、「定期同額給与」に該当しない限り、損金算入が認められません。また、社会保険料の対象となってしまいます。
役員社宅制度の個人側のメリット:手取りの増加
これに対し、個人の側では、会社が賃料の一部を肩代わりしてくれる形になり、実質的な賃料の負担が抑えられます。
また、賃料と転貸料の差額分だけ役員報酬の額を減額すれば、そこにかかる社会保険料を節約することができます。