(※画像はイメージです/PIXTA)

個人事業の「法人成り」をすすめるロジックとして、よく、個人よりも法人のほうが節税の手段の選択肢が多いということが指摘されます。本記事では、個人ではできない、法人ならではの方法で、会社の税負担を抑え、個人の手取りを増やせるとされる手段の一つ「役員社宅」について解説します。

役員社宅制度とは

役員社宅制度とは、会社が役員のために住宅を借り、それを役員に転貸することをさします。

 

会社は大家(賃貸人)に賃料を支払い、それを会社の経費(損金)に算入します。そして、役員に対し、賃料よりも低い金額で転貸するのです。実質的に、会社が役員の家賃の一部を肩代わりする形になります。

 

【図表】役員社宅制度のしくみ(イメージ)

 

これは、会社と役員個人の両方にメリットがあります。以下、それぞれについて説明します。

役員社宅制度で会社が受けるメリット:税負担の軽減

まず、会社は、役員社宅の賃料を損金に算入します。他方で、役員から受け取った転貸賃料は会社の利益(益金)に算入されます。

 

賃貸人に支払う賃料の額(損金算入)と、役員から受け取る転貸賃料(益金算入)の差額だけ、会社のトータルでの利益が減少するので、その分、法人税の額が軽減されます。

 

また、上記の差額分だけ役員報酬を削減する場合には、社会保険料の削減にもつながります。

 

ただし、役員社宅という形ではなく「住宅手当」として賃料の一部を支給してしまうと、役員給与として扱われ、「定期同額給与」に該当しない限り、損金算入が認められません。また、社会保険料の対象となってしまいます。

役員社宅制度の個人側のメリット:手取りの増加

これに対し、個人の側では、会社が賃料の一部を肩代わりしてくれる形になり、実質的な賃料の負担が抑えられます。

 

また、賃料と転貸料の差額分だけ役員報酬の額を減額すれば、そこにかかる社会保険料を節約することができます。

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