クルマを持っているだけでこんなに税金がかかる
自動車は、所有するだけで税金がかかります。
かかる税金の種類を「購入・新規登録時」、「保有期間中(毎年)」、「車検時」のそれぞれについてまとめると、以下の通りです。
【購入・新規登録時】
・自動車税・軽自動車税(環境性能割)
・自動車重量税
・消費税
【保有期間中(毎年)】
・自動車税・軽自動車税(種別割)
【車検時】
・自動車重量税
なお、「自動車重量税」は国税、「自動車税」は都道府県税、「軽自動車税」は市町村税です。
また、これに加え、走行の際にガソリンを入れれば、ガソリン税がかかります。ガソリン税はガソリン価格に含まれており、そこにさらに消費税がかかります。しかも、自動車を持つと、これらの税金の負担に加え、「自賠責保険」のほか「任意保険」にも加入しなければならず、2年に1回車検を受けなければなりません。
このように、自動車を取得・保有すると、維持費だけで大きなコストがかかります。都市部を中心に若者の自動車離れが進むのも、むべなるかなといわざるをえません。
また、地方では自動車が日常の交通手段として必要不可欠なところが多く、自動車を所有することの経済的負担の重さが大きな問題となっています。
なぜこんな複雑なのか?自動車関連税制の構造的問題
自動車税・軽自動車税、自動車重量税については、それぞれ問題点が指摘されます。
◆自動車税・軽自動車税|大事に乗るほど税金が高くなる
まず、自動車税・軽自動車税はもともと、1950年にいわゆる「ぜいたく税」の性質をもつものとして導入されたものです。当時は、自動車は一部の限られた富裕層だけが持っているぜいたく品でした。
しかし、現在、自動車は一般国民に広く普及し、特に公共交通機関が発達していない地方においては日常生活や仕事にとって有効な交通手段として必要不可欠な交通手段です。
ところが、JAFが2022年10月18日に公表した「自動車税制改正に関する要望書」によれば、日本の自動車取得・保有についてかかる税金(自動車税・自動車重量税)が欧米諸国(イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ)と比べ約2.2~31倍にのぼることが指摘されています。
さらに、自動車税・軽自動車税は、中古車ほど税金が高くなっていきます。すなわち、新車登録から13年経過すると税額が高くなり、長く大切に乗り続けることでかえって税金が高くなってしまう計算になります。
しかも、2019年10月に「自動車税の恒久減税」が行われましたが、対象となっているのは2019年10月以降に新車新規登録を受けた自家用車に限られています。
◆自動車重量税|存在意義も税率も正当性があやしい
自動車重量税も、自動車税・軽自動車税と同様、新規登録から13年経過すると税率が高くなっていくという問題があります。
それに加え、自動車重量税は、その正当性自体が疑問視されています。
どういうことかというと、自動車重量税は、もともと、ガソリン税等とともに、「道路特定財源」であり、使い道が道路の整備・補修の目的に限定されていました。自動車は道路に負荷をかけるので、道路の維持・補修のためのコストを自動車所有者に転嫁する制度として、自動車重量税が設けられたのです。
それが、いわゆる「構造改革路線」の下、2009年から使途を定めない「一般財源」へと移行しました。
自動車重量税は元来、道路整備のための財源としての役割を担ってきました。しかし、その後、道路の整備水準が向上し、かつ、公共事業の抑制もあり、税収が歳出を大幅に上回るようになりました。それに伴い、「道路特定財源」ついて見直しを行い、使途を定めない「一般財源」に移行されたのです。国土交通省HPで、その経緯についての解説がされています。
「道路特定財源」としての存在意義が薄れたのであれば、自動車重量税を廃止するのが筋であったはずです。しかし、実際には廃止されず「一般財源」に移行され、税率も維持されました。このことについての理由として挙げられるのが「厳しい財政事情」「環境面への影響の配慮」です。
すなわち、2009年の「一般財源化」を境に、自動車重量税は存在意義がすり替わったということです。
しかも、税率についても、疑義が呈されています。現行の税率は、自動車重量税が道路特定財源だったときに、道路整備の財源が不足することを理由に暫定的に引き上げられたものが、「一般財源化」の後も特段の理由もなく引き継がれているものです(当分の間税率)。
このように、自動車重量税は、存在意義、税率のいずれについても疑義が指摘されています。