中国人留学生たちが「アルバイトを頑張る」理由
アルバイトには中国からの留学生が多くいました。当初は、日本人の大学生も3、4人いたのですが、だんだんフェードアウトして、最後の1ヵ月はオール中国人。
この理由は二つあったと思います。
中国人留学生たちは、日本人には負けたくないという意識が明らかでした。片や日本人学生たちは、「なんでバイトで競争しなきゃいけないの」と思っていたようです。だんだんフェードアウトしていくことになったわけです。
そして、中国人留学生たちがうちに来て頑張るもう一つの理由は、日本における中国人に対する差別的ともいえる待遇です。たとえば、ファストフード店だとかコンビニだとか、接客を主とするアルバイト先に行くと、日本人がやらない、いやなことはすべて中国人アルバイトの仕事。言葉の問題があるからかもしれませんが、汚れ仕事をさせられることが多かったそうです。
彼らはそういう経験をずっとしていました。その点、私とすれば日本人も中国人も関係ありません。熱心に取り組んでくれればよいだけです。もちろん、時給も同じ。アルバイトとはいえ、意欲のある人間を使いたいと思うのは、自然な考え方だと思います。
私の妻が上海出身で中国語を話すことも、彼らにとっては重要なことだったでしょう。自国語が通じる居心地のよい環境だったのは間違いありません。彼らがさらに友人を呼んできて、わが社の臨時キッティングルームには、多くの中国人留学生が集うことになりました。多いときは30人はいたでしょうか。
アルバイトの中国人留学生たちは、じつに意欲的でした。彼らは私を「老板(ラオパイ)」と呼びます。ボス、社長の意です。
「老板、聞いてほしい」