都道府県別に「開業率/廃業率」をみていくと
さらに地域ごとにみていきましょう。開業率のトップは「沖縄県」で8.8%とダントツ。「埼玉県」「東京都」「福岡県」「愛知県」と続きます。一方で開業率が最も低いのは「秋田県」で2.7%。「青森県」「新潟県」「岩手県」「鳥取県」「富山県」と続きます。
廃業率のトップは「大分県」で4.0%。「島根県」「高知県」が3.8%と続きます。一方で廃業率が低いのは「奈良県」で2.7%。「熊本県」「和歌山県」が2.8%と続きます。
日本の廃業率は低下傾向にあり、倒産企業数も減少傾向にあります。そのような状況にも関わらず、昨今、増えているといわれているのが、「良好な経営状態にある企業の廃業」です。その原因は、中小企業における後継者不在問題。
日本政策金融公庫総合研究所『子どもの事業承継意欲に関する調査』によると、事業をつがない理由を親の事業を承継するつもりはない人に聞いたところ、最も多かったのが「事業経営に興味がないから」で35.4%。「必要な技術・ノウハウを身につけていないから」26.5%、「自分は経営者に向いていないと思うから」26.2%、「必要な免許・資格を取得していないから」19.7%、「事業の先行きが不安だから」16.0%と続きました。
後継者不足の要因として「無関心」「能力不足」「経営リスク」の3つがみえてきました。無関心や能力不足は、問題が露呈してからは手遅れ、早めに事業承継対策に乗り出すことで解消できるかもしれません。
経営リスクは、環境の変化などもあるので、何とも難しい点ではありますが、収益力や競争力を高めておくことで、不安を払拭できる可能性があります。
そこで重要になるのが、昨今、声高らかにいわれているDXです。経産省は既存のITシステムの課題を各企業が克服できず、DXを推進できなかった場合、2025年以降に巨大なリスクが発生するといわれています。一方で、その壁さえ乗り越えることができれば、高収益化を実現し、経営リスクも減少。かたくなに事業承継に対して首を振っていた子どもたちが、興味を示すかもしれません。