厚労省調査…大人の発達障害者、50万人
最近、耳にすることが多くなった「発達障害」というワード。発達障害者支援法では、発達障害を以下のとおり定義しています。
発達障害者支援法第一章第二条
「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
この発達障害支援法が施行されたのが2005年4月1日。それまでは発達障害と診断されることなく、多くが「ちょっと人とは違った変わった人」「普通の人ならできることができない人」などという扱いをされていました。
現在、小・中学校では、比較的障害の程度が軽い子どもに対して、「通級指導教室」による指導が行われています。そこに通う子どもは、通常学級に籍を置き、週に何時間か通級指導教室に移動して支援や指導を受けます。
発達障害の子どもは、どれほどいるのでしょうか。2012年に文部科学省が教職員に対して行った調査では、発達障害の可能性があるとされた児童生徒は6.5%。1クラスに2人程度いる計算です。また米国政府の統計では、11%の子どもがADHDだとしています。ただし、これらの調査は医師に診断されたものではないので、正確な数字とはいえません。
ちなみに、2020年、全国の小学生630万0,693人に対し、通級で指導を受ける児童は14万0,117で、ADHDは2万7,790人でした。定期的かつ頻繁に調査されておらず、その調査方法も一定ではないので、いまいち、発達障害の正確な実態は掴みきれていないのが実情です。しかし発達障害者支援法ができ、発達障害と診断される例が増えたため、発達障害とされる子どもが急増しているのは事実です。一方でまだまだ偏見は根強く、医師への相談をためらうケースも。そのため実際にはさらに多いと考えられます。
また成人になって初めて発達障害と診断されるケースも増えています。厚生労働省「平成28年生活のしづらさなどに関する調査」によると医師から発達障害と診断された人は推計48万1,000人。そのうち障害者手帳所持者の割合は76.5%でした。
発達障害の場合、「精神障害者保健福祉手帳」が取得でき、障害者手帳があれば「就職時に障害者枠での応募ができる」などのメリットがあります。