自己負担が大きい国民健康保険
韓国の国民健康保険は、保険料は所得によって計算され、かかる医療機関によって自己負担額が30%~60%と幅があります。日本にある「高額医療制度」のようなものは韓国にはありません。そのため、MRIや精密検査など一部においては保険対象外になる可能性もあります。一方で、がん患者の自己負担率の設定は低いなど、重病患者に対するケアには定評があります。
OECDの調査によると、日本では全医療費に占める患者負担割合は16.3%ですが、韓国では33.8%と加盟国のなかでも特に高くなっています(日本や韓国と同じ社会保険方式を採用している国の医療費に占める家計負担は、韓国33.8%、日本16.3%、ドイツ12.4%、フランス7.6%、オランダ5.5%と続きます)。
自己負担率が6割になる病院も
韓国の自己負担比率が高くなっている理由は、先述のように病院により高い自己負担を求められることがあるからです。 韓国では、入院の場合どの病院でも自己負担2割ですが、外来(通院)は病院によって自己負担3~6割と差があります。
上級総合病院の診察料は全額自己負担でそれ以外の費用が60%負担、総合病院は45~50%負担、一般的な病院では30~40%の負担額となります。薬局では30~50%の負担が一般的です。
つまり、レベルの高い医療を行う上級総合病院や、規模の大きい病院にかかると、それだけ自己負担が増えるというわけです。日本では病院の規模や受診時間帯によって多少診療費が変わることがありますが、治療内容が同じならどこで治療しても同一の自己負担率(1~3割)となっています。ここが日本と韓国で大きく異なるところです。
MRIやCTスキャンは保険適用にならない
では、「大きな病院に行かず、小さな近所の医院を受診すれば、そんなに医療費はかからないのではないか?」となりますが、小さな病院では、公的医療保険の対象範囲が日本に比べて狭いために自己負担額が大きくなってしまうことが多いのです。
たとえば、日本ではMRIやCTスキャンでの検査は公的保険の対象ですが、韓国では保険対象外のため全額自己負担になります。徐々に保険対象が拡大されているようですが、日本に比べて、その範囲はまだかなり狭いようです。
「混合診療」は使えるも、自己負担額はさらに増える
日本で原則禁止されている混合診療(※保険対象の診療と、保険対象外の診療を一緒に行うこと)が行われていることも、自己負担額を上げている大きな一因です。混合診療を行った際に保険対象分が保障してもらえるというメリットはあるものの、保険対象外の治療が増えれば、結果的に自己負担額が増えてしまいます。
生活保護を受けていて医療費が無料になる人でも、保険対象外の診療については自己負担です。そのため、医療費が払えないという事例がいくつも発生しています。 ただしその一方で、がんなどの重病患者、難病の患者に対しては、自己負担率が5~10%で済むという手厚いケアもあります。
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