医療費を気にして病院から逃げる患者
韓国の疾病管理本部の調査でも、病気にかかったにもかかわらず病院に行かなかった人のうち21.7%が、「診療費が高いために病院に行けない」ことを病院に行かなかった理由として挙げています。低所得者層のなかには医療費が払えず病院にかかることを諦めたり、入院中に病院から逃げ出す人もいるのです。
リタイア後の高齢者も若者と同じ負担率
韓国と日本の公的医療保険制度では、子供や高齢者に対する医療費の自己負担額も大きく異なります。日本だと70~75歳は自己負担2割、75歳以上は自己負担1割と、高齢になるほど自己負担の割合が下がりますが、韓国では、高齢でも若いときと同じ自己負担を求められます。
韓国は日本よりも高齢化が遅れていたために、高齢者の医療負担について重要視されてこなかったことが原因のようです。
6歳未満の子供にも自己負担額が発生
また、日本では中学生までは医療費無料としている自治体も多いのですが、韓国では6歳未満の子供にも自己負担があります。入院した場合、大人20%に対し、6歳未満の子供では10%です。一般外来の場合でも、大人が30%なのに対し、6歳未満の子供は10%の自己負担が発生します。
韓国でもいま少子高齢化が喫緊の課題となっていますので、医療費負担についても改革が求められることになるでしょう。
民間医療保険へのニーズが高い
国民皆保険制度はあるもののこのような状況ですから、韓国では自己負担額をすべて補償してくれるタイプの民間の医療保険の普及が進んでいます。韓国政府は公的保険での費用負担を改善してゆく方針ですが、まだまだ先がみえない状況です。そのためなんとか医療費の自己負担分を補填しようと民間の医療保険に入る人がたくさんいるのが現状です。
人気の民間医療保険「実損型医療保険」
日本でも医療保険やがん保険が人気ですが、韓国も日本や台湾と同様にがん保険の人気が高いようです。
日本では、いくら医療費がかかったかに関わらず「この手術には10万円、この通院には1日1万円」などと給付金額が一定のタイプが多いのですが、韓国で人気のある医療保険は、「実損型医療保険」というものです。これは、患者さんが実際に負担した医療費を補償してくれるタイプの保険です。日本でも損害保険会社から販売されています。公的保険料は安いけど、あれは対象外、これも対象外ばかり。だから自己負担額全額補償の民間保険に入っておかなければいけない。
コロナによる混乱のなか、このように自己負担に悩む韓国の国民にとって、オンライン診療が少しずつ普及して行くことになります。しかし、そこにもさまざまな壁があるようです。
鈴木 幹啓
すずきこどもクリニック院長
〈オンライン診療に新たな革命/ラディアル型オンライン診療システムとは?〉
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