オンライン診療の進展を後押しした「国民の不満」
アメリカは民間病院が多く、激しい競争原理が働くため、病院の経営レベルが高いのです。ですから、赤字の病院はほとんどありません。そのため、オンライン診療を整備・着手することへの取り組みが、スムーズに行われた病院も珍しいことではなかったのかもしれません。
ここまでで、だいたいおわかりいただけたと思いますが、要するにアメリカでは、医療を受けられる環境、高い医療費、保険の都合など、面倒なことが多いのです。特に日本と比較するとそう見えます。しかし、これが当たり前として長いあいだ続いていたことを考えると、オバマケア(低所得者の人も保険料の安い公的医療保険に加入できるようにする改革)やオンライン診療は革新的なことでもあるのです。それは、医療に対する国民の不満から生まれたものともいえるでしょう。
日本ではこのような不満を、あまり聞くことはありません。ほかの国も医療に対する不満が日本よりも強かったことが、オンライン診療の進展を後押ししたのかもしれません。しかし、日本についていえば、いつまでも、「いまのままでいい」という考え方ではよくないのです。
コロナを機にさらに高まるニーズ
アメリカではオンライン診療の導入も早かったのですが、新型コロナウイルス流行以前は、目覚ましく普及したとはいえませんでした。しかし、さまざまな取り組みによって着実に広がりを増してゆきます。
オンライン診療が導入・実施され、広く知られるようにはなりましたが、その実績は決して高い数字といえるものではありませんでした。特にクリニックやかかりつけ医のオンライン診療は遅く、またオンライン診療が提供されていることを認知していた人も多くはなかったようです。
しかし、オンライン診療は、誰でもできる環境(パソコンやスマートフォンがあればいい)にあるので、利用者が徐々に増えてゆき、関連する機関や保険会社などが対応せざるを得ない状況を作り出されたことによって、需要と供給の対応を加速させることになります。
アメリカでは企業の雇用主が、従業員向けに提供する医療保険にて、被保険者である従業員が利用しやすく、医療費を削減できる方法として、オンライン診療の提供を拡大しました。2017年以前から、企業の保険にはオンライン診療サービスへの対応が含まれており、企業全体の半数以上が実施していました。いまでは企業の保険にオンライン診療サービスが含まれることは、当たり前になっています。
現在、アメリカ国内では1日平均およそ10万回以上のオンライン診療が実施されているといわれています。アメリカ全体でのオンライン診療は2020年で10億回以上に達したともいわれています。これは、コロナの影響によることも大きいことは間違いありません。
これだけのニーズがあると、さまざまなサービス、プラットフォーマーの拡大が発生することはいうまでもありません。それは競争を加速させ、価格とサービスの向上を招くことに繋がります。国民にとっても好都合です。
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