米ドル陽線も「9週連続」でひと段落
以上、先週金曜日の米ドルが急反落に転じた背景について見てきましたが、きっかけは米利上げ見通しの下方修正と米ドル売り介入といえるでしょう。
ただ、そもそも米金利も米ドルも短期的に「上がり過ぎ」気味になっており、その修正により米金利低下、米ドル反落が起こりやすくなっていたということもありそうです。
米金利がこの間大きく上昇したのは、利上げ見通しに反応しただけでなく、最近の英国債急落(利回り急騰)に連れたことで、実態以上の動きになっていた可能性がありそうでした。
また、米ドル/円の日足チャートは、木曜日まで何と12営業日連続の米ドル陽線となるなど、さすがにいつ米ドル高がひと息つき、米ドル安に転じてもおかしくない状況になっていました。
こういった状況だったからこそ、米利上げ見通しの下方修正や米ドル売り介入に、「米金利急低下=米ドル急落」といった具合に大きく反応する結果になったのではないでしょうか。
これを受けて、米ドル/円は週足チャートでも米ドル陽線が9週連続でひと段落となりました。これまでも、米ドル陽線の長い連続記録がひと段落した後は、2~3週米ドル陰線が続きました(図表4参照)。これを参考にすると、今週も米ドルは続落、米ドル陰線となる可能性は注目されます。
その一方で、米ドルがここから大きく下がるかと言えばそれも疑問です。すでに見てきたように、米国の政策金利のFFレート(上限)は、11月FOMCで4%以上に引き上げられる見通しとなっているわけですから、その意味では米2年債利回りも4%を割れる可能性は当面は考えにくいでしょう。
そうであれば、それと連動する米ドル/円も145円を大きく割り込む可能性は低いのではないでしょうか。
以上を踏まえると、今週の米ドル/円は145.5~150.5円のレンジでの展開を予想したいと思います。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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