DXを推進しないと日本企業が直面する危機
それでは、3つの段階を経て進めるDXがなぜ必要なのでしょうか。この話題についてもさまざまな解説が存在しますが、DX推進が必須である理由として、ここでは次の3つを挙げたいと思います。
1.競争力の弱さ
近年、世界中のあらゆる市場において、DX先行企業による既存ビジネスモデルの破壊と再構築(デジタル・ディスラプション)が活発化しています。その結果、これまで市場を牽引してきた企業であっても、先進的なデジタル技術を取り入れた新規参入企業にシェアを奪われてしまうケースが多発しています。この市場の急速な変化に柔軟に対応するためには、既存のビジネスモデルに固執せず、競争力の強化に努めることが必要であり、そのためには「デジタル技術を最大限活用した変革」(=DX)が必須となります。
2.6割の企業が「レガシーシステム」の刷新に乗り遅れる
この言葉は、経産省『DXレポート~IT システム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』上に記載された予言です。同レポートによれば、2025年には21年以上レガシーシステムを運用している企業が6割にも達するとされています。
レガシーシステムの刷新に乗り遅れた企業は多くの事業機会を失う可能性が大きく、このまま放置すれば、日本全体で毎年12兆円の経済損失が生じる可能性があるともいわれています。レガシーシステムによって引き起こされるこのシナリオは「2025年の崖」と呼ばれており、経産省では早期の対策が必要と警鐘を鳴らしています。
3.変化を続ける消費者ニーズへ対応できない
消費者の関心は「モノを所有すること」から「コトを体験・共有すること」へと変化しているといわれています。また、商品・サービスを訴求するためには、よりパーソナライズされたアプローチが重要になっています。いまやレコメンドが表示されないECサイトのほうが珍しくなっている現状をみれば明らかです。消費者のニーズや活動の変化を敏感に察知して対応するためには、購買履歴等のデータ活用とIT技術を駆使した「DX」の推進に取り組むことが必要不可欠といえそうです。
河田 京三
HOUSEI株式会社
DX推進室室長