いまや「オンライン大国」となった中国だが…国民が「オフライン」を恋しがるワケ

いまや「オンライン大国」となった中国だが…国民が「オフライン」を恋しがるワケ
(写真はイメージです/PIXTA)

中国では、コロナ禍の前からあらゆることのデジタル化が社会に浸透していました。便利だからと人々に浸透してきたことですが、そんな中国人も改めてオフラインのよさを痛感しているようです。本記事では、日中異文化経営コンサルタント金鋭氏と、HOUSEI株式会社代表取締役社長管祥紅氏が、日本と中国のデジタル化の現状について対談を行い、HOUSEI株式会社の河田京三氏が記録しています。みていきましょう。※HOUSEI株式会社が2020年12月に公開したインタビュー記事を転載し、幻冬舎ゴールドオンライン編集部が本文を一部改変しております。

コロナ前からデジタルインフラが整っていた中国

:コロナ前後というところで、中国の状況とDXを含めたオンライン・オフラインという話が話題になります。日本はコロナになった瞬間にオンラインにいきなりシフトしていった。ZOOMなどのツールを使いながら。最近はオンライン疲れもあるように聞いています。

 

中国では、オンラインのインフラができている状態だったので、日本とはまた状況が違いましたね。友人に「中国はキャッシュレスだよね。スマホを持っていない人やお年寄りはどうしているの?」と聞かれますが「皆キャッシュレスで生活していますよ」と答えます。

 

できるかできないかではなく、使わないと生きていけないのですね。買い物も地下鉄も。携帯はインフラですから。

 

:面白いと思ったのは、中国で比較的若い人はITツールを使いこなしているが、年配の方もIT化して道具を使いこなしているというところです。年齢に関係なく使っていますね。

 

あらゆるもののデジタル浸透後は「オフラインの価値」が重要に

:こうなったのもつい最近で、インフラとしてできあがっている状態ということですね。最近よく言っているのは「デジタルのなかのリアル」が重要になると思っています。

 

アナログとデジタルがありましたが、最近の中国はデジタルがすべてになりつつあり、デジタルが当たり前の世の中では差別化が難しいんですね。たとえばデリバリーは中国の2サービスともあまり差がない。ドライバーのクオリティも差別化のひとつですね。またはコメントの書き方だったり。

 

そういった「デジタルのなかのリアル」の出会いや感動をどう生み出していくかですね。

 

:振り子のように、アナログからデジタルへ振り切りましたが、それが戻って、アナログ的な要素が大事になってくるイメージですね。

 

:上海はソフトダウンしましたが、日本の友人によく言っているのですが、中国人がこれだけ感染爆発を抑え込めたのは、自衛の意識が強いということがあります。家族にうつしたくない、出てもいいよと言っても外に出ない、外食もしない。3~5月の3ヵ月はほぼ外食しないんですね。

 

私も上海に戻ったときに、友人と会食したのですが、3ヵ月ぶりだったと。オンラインだけで人は生きていける、全部生活できるんですね、中国では。それでも、やっぱり人に会いたい、しゃべりたい、オフラインの価値を再認識しました。

 

:もともと半月ずつ日中を行き来していましたが、ほとんどデジタル化して仕事していました。雰囲気や温度感、感情を伝えやすいということに価値を感じて現地まで行っていました。

 

しかしこの春からはずっと東京にいました。いろいろとストレスが溜まったことがありましたね。会って話をするところとか、おっしゃるようにアナログが必要だなと感じました。

 

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