課題レポートの採点時間が劇的に減少…教師が驚く、最先端の「通信制高校」のいま

課題レポートの採点時間が劇的に減少…教師が驚く、最先端の「通信制高校」のいま
(写真はイメージです/PIXTA)

教育業界でもDX推進に注目が集まる昨今。さまざまな技術が教育現場に導入されるなか、 通信制高校「ヒューマンキャンパス高等学校」は、業界内でも先駆けて教育DXを進めています。今回は、同校の設置法人「学校法人 佐藤学園」の永島伸二氏(教育企画部長)に、河田京三氏(HOUSEI株式会社)が聞き手となり、最先端の通信制高校の現状についてインタビューを行いました。みていきましょう。

卒業率は約98%…最先端の「通信制高校」

■Q1.

永島さんの前職はシステムエンジニア。そうした経験から、通信制の学校とICT教育(※)の親和性は高いと感じています。通信制高校というと、ひと昔前まではさまざまな事情で学校に行けなくなった子供たちが集まる、そんなイメージを持たれていた印象があります。その点、ヒューマンキャンパスの生徒さんたちはいかがですか。

 

※ICT教育とは、情報通信技術(ICT)を教育に活用することで、学習効果や能力開発を高める教育方法です。インターネットやデジタル機器を使って、自ら調べ学習や協働学習を行うことで、主体性や創造性、コミュニケーション力などを育むことができます。

 

<永島>

もちろん、転入・編入による生徒さんも多いですが、当校の場合は半数以上が新入生ですね。中学3年時に最初の高等学校として選んでくれる生徒さんが増えており、保護者の方や中学校の先生方のあいだでも通信制への理解が深まってきた印象を受けています。

 

当校では高校卒業を目指す一般通信コースや通学コースのほか、さらに専門分野を学べるコースも2つ用意しており、本人のやる気やライフスタイルに合わせて柔軟に選択できる体制を整えています。

 

たとえば、プロゲーマーや声優、漫画家、ITエンジニア、ドローン操縦士などを目指す生徒さんたちは高校の勉強に加え、それぞれの専門教育プログラムも受講できるので、魅力を感じる人は多いようです。こうした特徴が受け入れられていることもあり、キャンパス高校の卒業率は約98%と高い数値を維持しています。

「ICT教育」で教師は負担軽減、生徒は教育の質向上

■Q2.

ヒューマンキャンパスではさまざまなICTツールを活用しています。現場の反応はいかがですか?

 

<永島>

新しい学校を創るうえで、教育現場のDX、ICT教育の推進、新たな取り組みにチャレンジしたいという思いがありました。通信制の学校では、生徒さんから提出された課題レポートを先生方が添削指導するのですが、添削以前に「採点」にものすごい労力と時間が費やされているという問題があります。

 

ただ、学校の立場からすれば、先生方にはやはり採点という作業ではなく、指導やフィードバックに時間を割いてもらいたい。生徒ひとりひとりと向き合える時間を増やしていただきたいという思いがあります。

 

ICTツールをうまく活用すれば、先生方の負担を軽減し、そのギャップを埋められる可能性があります。導入の目的が先生方の採点に関わる労力を軽減することにある以上、幅広い表現に対応しているというのは条件のひとつでした。先生方にとってICTツールは初めて触れるものですので、まだ馴染めていない部分は多々あります。

 

特にいまはこれまでの紙の問題をそのまま移植しているような状況ですので、この1年間運用してみて、さまざまな問題を工夫しながらプラットフォームに適したスタイルに変えていく作業が必要だと感じています。

 

ただ、運用を始めてまだ1週間しか経っていませんが、生徒さんからレポートが送られてきた瞬間に採点アシスト機能が反映されていることに、理事や教職員は驚いていますね。しかも、生徒さんがレポートを送信した時間も把握できるので、個々の生活リズムも知ることができます。そうした情報を付加価値として活用、分析していけば、教育の質向上につながると思いますので、初年度はいろいろと苦労しながら試させていただき、次年度の運用に活かしたいと思っています。

 

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