高額医療負担金はなぜ廃止の方向へ?
では、高額医療負担金の制度の廃止案がなぜ出されているのでしょうか。
もともと、国民健康保険は市町村が運営していました。しかし、市町村には財政赤字を抱えているところも多く、かつ、高齢化によって医療費水準が高くなるという構造的な課題がありました。
そこで、この問題に対処するため、2018年(平成30年)に制度改正が行われ、市町村だけでなく都道府県も一緒に国民健康保険を運営することになりました。
都道府県は、市町村ごとの医療費水準や所得水準に応じた国保事業費納付金 (保険料負担) の額を決定し、保険給付に必要な費用を全額、「保険給付費等交付金」として市町村に対して支払うことになりました。
これが実現すれば、保険料水準の統一がはかられると同時に、市町村の財政は従来と比べて大きく安定するようになります。
「高額医療費負担制度の廃止」は、その流れの一環として出てきたものです。
財務省がまとめた「令和4年(2022年)度 予算執行調査の調査結果の概要(7月公表分) 」には次のような記載があります。
「現在、取組を進めている保険料水準の統一により、高額医療費による影響は完全に取り除かれることとなる。」
「高額医療費負担金が果たす機能は現時点においても極めて限定的であり、いずれその役割を終えることは明らかである。国保運営の予見可能性を高めるためにも、廃止に向けた道筋を工程化すべきである。」
このように、「高額医療費負担金」の廃止は、「高額療養費制度」とは縁もゆかりもないものです。また、現状、高額療養費制度が廃止されたり縮小されたりする動きはみられません。
高額療養費制度は今後「廃止」か「縮小」されないか?
そうはいっても、今後、高額療養費制度がどのようになっていくのか、気になるところです。たしかに、2001年以降、わが国の政策は、国民の自助努力を強く求める「新自由主義的」な傾向を強めているといわれます。
しかし、国の政策を最終的に決定するのは、私たち国民です。私たちが代表者として国会議員を選び、国会議員が国の意思決定を行います。
その意味で、「新自由主義的」な政策も、元はといえば私たちが決めたのと同じことなのです。
今後、高齢化にともない医療費の負担が増大し、しかも、財源や国民の自己負担の割合が問題とされていくのは間違いありません。たとえば、財源ひとつとっても、社会保障制度の枠内だけでなく、税制や国債発行等も含めた総合的な視点で考えることが求められます。
そんななかで、私たちは、公平かつ合理的な制度が実現するよう、選挙での投票行動や日々の監視を通じて、政治家・政府に対する民主的コントロールを及ぼす必要があります。
\3月20日(金)-22日(日)限定配信/
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