「やっと眠れる」…義母の施設入居で肩の荷が下りた
「もう限界でした。夜中に呼ばれるたび、心臓が跳ねて」
そう語るのは、パート勤務の由美さん(仮名・52歳)です。夫(仮名・55歳)と二人暮らし。義母の春子さん(仮名・79歳)は要介護3で、年金は月16万円。転倒や失禁が増え、見守りが必要になっていました。
同居していたわけではありません。それでも夫が「母は家がいいから」と言い続け、通院・買い物・食事の差し入れ・夜間の呼び出しは、いつの間にか由美さんの役割になっていきました。
「あなたが一番優しいから頼りになるのよ」
義母のその言葉が、由美さんを縛りました。
半年以上かけて探し、ようやく受け入れ先が決まります。要介護3のため、介護保険施設(特別養護老人ホーム等)への入居が現実的でした。
入居直後、由美さんは久しぶりに深く息を吐いたといいます。
「ごはんを作って、怒鳴られなくていい。夜中の電話に怯えなくていい。こんなに静かな夜、何年ぶりだろうって」
施設費用は、年金から賄える範囲だと聞いていました。夫も言いました。
「母の年金で足りるって。俺たちが抱える話じゃない」
由美さんは、その言葉を信じました。
入居から8ヵ月。施設から夫に連絡が入りました。
「ご家族にお伝えしたいことがあります」
由美さんは嫌な予感がしたといいます。体調は安定し、生活も落ち着いていると聞いていました。
しかし職員の言葉は、予想外のものでした。
「要介護認定の更新結果が出まして…要介護2に改善されました」
夫婦は顔を見合わせました。
「それって、いいことですよね?」
由美さんがそう言うと、職員は静かに続けました。
「特養は原則、要介護3以上が入所対象になります。要介護2の場合、継続入所はできません」
由美さんは言葉を失いました。
「え…退去、ということですか?」
「はい。在宅または他施設への移行をお願いすることになります」
