営業マンの「案内」が成約のカギを握っている
②仲介店舗の営業マンの推薦を仰ぐ
募集間口を拡大し、仲介会社の営業マンとの信頼関係を醸成するだけでは解決できない問題があります。それは、二つ目の対策である「仲介会社の営業マンの推薦を仰ぐ」ことと関係しています。
ネット検索の進歩によって仲介店舗の存在意義が問われているという話をしましたが、仲介会社の営業マンの影響力が衰えたわけではありません。事前にネットで情報を調べず、仲介店舗に直接足を運んだ人に対しては、営業マンにいかに案内してもらえるかが成約のカギを握っているからです。
広告料の効力が薄れているというのは、連載「圧倒的競争力で満室経営を実現する『0円賃貸スキーム』」で詳しく説明したとおりです。ただし、現状の業界の利益構造を考えると、現実的には広告料を手段として使い、案内数を増やしてもらうことが得策であるケースも少なくありません。
したがってオーナーは、現状では広告料を入居者獲得の必要コストと割り切って考えてください。その代わり、管理会社はオーナーからいただいた広告料を、新規入居者を獲得の最善の方法で活用する責任があります。
募集間口を広げるためには、広告料の提供も必要
筆者の会社の場合、オーナーからの広告料は、仲介業務を依頼する仲介会社にそのまますべて渡しています。
そうすることで、当社が客付けを依頼した仲介会社は自社管理物件以外の物件に対しても「両手」を得ることができるようになり、他社物件の客付けにも積極的に動いてもらえるようになります(下記の図表参照)。
[図表]他会社仲介店舗が「両手」となる利益構造
仲介会社にとっては、他社物件の情報が得られることは在庫の増加を意味し、歓迎すべきことです。
しかし他社物件がいくら魅力的な部屋であっても、広告料が得られない「分かれ」の状態ではその物件は積極的には案内しません。仲介会社にとっては、利益の少ない他社物件をわざわざ自社で客付けするメリットはないからです。
このように、他社仲介店舗に物件情報を提供し、募集間口を広げるためには、広告料も提供して「両手」にするのが大前提です。
その上で少し多めに広告料を渡せば、営業マンにとっては自分のインセンティブを高めることが目標ですから、自社物件であろうが他社物件であろうが関係なく、より高い売上が見込める物件を推薦するように動いてくれるでしょう。
募集間口を広げ、仲介会社の営業マンとの信頼関係を醸成し、さらに広告料をうまく使って他社仲介店舗の「両手」(あるいはそれ以上の売上)を実現することが大事だということです。