前回は、賃貸経営でも「いかに儲けるか」という経営者視点が重要である理由を説明しました。今回は、競合物件と差別化をするために、まず何を最初にすべきか見ていきましょう。

自分の物件が一番だと思っているオーナーは多いが…

自分が所有する物件価値を競合よりも高めなければ、なかなか入居が決まらない時代になりました。しかしオーナーの中には自分の所有物件が一番と思い込み、入居が付かない理由を理解しようとしない人もいらっしゃいます。

 

そうした場合、筆者は最寄駅から管理物件まで、オーナーと一緒に歩くことがあります。仮にそのオーナーをSさんとしましょう。

 

最寄駅を始点にSさんと歩き始めた私は、Sさんが所有する賃貸マンションにたどり着くまでの間、目に入った競合物件の説明をしていきます。この物件はどのような設備を導入しているのかとか、この物件は定期的に修繕や設備導入を行って満室経営を維持しているとか、私自身が調査した内容を詳細に伝えていきます。

 

オーナーによって反応はさまざまですが、共通して言えるのは、やはり自分の所有物件が一番優れていると思われている点です。競合物件もたしかにいい物件だが、やはり自分のマンションが一番だ――。言葉に出す出さないは別にして、心ではそのように思われているのが見てとれます。

 

説明して歩きながら、Sさんが所有する物件にたどり着きました。ここで私は次のように質問します。

 

「駅からここまで歩く間に説明した競合物件に、Sさんのマンションが確実に負けている要素があります。何だと思いますか?」オーナーの多くは不思議な顔をされますが、ズバリ立地です。

 

駅からSさんの所有物件に向けて歩く途中で目にした競合マンションなので、そのすべてに立地で負けていることになります。賃貸マンションは駅に近いほど価値が上がりますから、その意味でSさんの物件は競合よりも価値が低いわけです。

 

しかし立地特性は自らコントロールできない要素です。駅近の競合物件に勝つためにはどうすればいいか、という創意工夫が求められます。

 

すでに立地で負けているのを理解しながら、他の要素で競合より一歩抜きに出る対策を施して、立地も含めた総合力で競合物件よりも価値を高める。そうすれば、入居者に選んでもらえる物件に仕立てることは可能です。

仲介会社の営業マンにヒアリングするのも有効

では競合対策で必要なことは何かというと、実はそれほど難しいことはありません。競合物件を調べればいいのです。

 

そこで有効に利用できるのがネット検索です。賃貸物件を紹介するポータルサイトを活用すれば、「賃料」「駅徒歩」「間取り」「築年数」「面積」「設備や条件」「入居条件」といったさまざまな条件で競合物件を絞り込むことができます。

 

競合対策のポイントは、すべてポータルサイトの物件概要ページに詰まっているといっても過言ではありません。仮に駅までの距離で負けていたとしても、それは数ある検索条件のたったひと項目に過ぎません。

 

競合物件と自分の所有物件の部屋・設備の特徴を比較して、確実に勝てる要素を見つけ出し、そこを強化するだけで確実に価値を高めることは可能です。

 

たとえば、温水洗浄便座が付いているか否かで物件価値は異なります。あるいは3点ユニットバスとバス・トイレ別の物件でも価値は異なり、セパレートのほうがワンルームの家賃にして5000円から1万円程度高くなります。

 

入居者がどの物件を選ぶか、どの程度の家賃までなら支払えるか、それは「価値≧価格」によって決まっています。すなわち入居者は、それだけの価値があると判断するから入居を決め、相応の価格を支払うのです。

 

競合物件と比べて価値をいかに高め、入居者に選ばれる物件に仕上げるか。しかも最小限の費用で最大限の投資効果を上げられるか。その経営の舵取りがオーナーに求められています。

 

そしてその経営判断の第一歩が「調べること」なのです。

 

ポータルサイトの検索機能を使って競合物件を詳細に調べるとともに、地域の賃貸ニーズ、世帯年収の相場なども可能な限りご自身で調査してみてください。競合物件の数と空室率も知っておく必要があるでしょう。

 

ご自身で調べるのが難しい場合、懇意にしている仲介会社に出向き、営業マンに聞いてみるといろいろ教えてくれるはずです。自分で調査し、客観的根拠に基づいて所有物件のポジションを把握できれば、「価値≧価格」にする方法が見えてくるはずです。

 

調べるという、一見すると当たり前に思える行為が、賃貸マンション経営で勝ち組に入るための大原則です。

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    池田 建学

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