(画像はイメージです/PIXTA)

働いた分の残業代が支払われない、経営不振により支払いが滞るなど、給与の未払い問題は労働者の生活を困窮させる可能性もあり、重大な社会問題です。労働者には会社に未払い給与を請求する権利がありますが、直接交渉しても相手にされないことも多く、泣き寝入りしてしまうようなケースも少なくありません。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、吉田 倫子弁護士に解説していただきました。

 

法定労働時間を超える労働時間は割増賃金の対象となる

1日8時間又は1週40時間の法定労働時間を超える時間外労働は、原則として割増賃金の対象となります。

 

原則として、会社は労働者に対し、1日8時間又は1週40時間を超えて労働させてはなりません(労働基準法第32条)が、例外的に、労働基準法第36条(いわゆる三六協定)によって、この時間を超えて労働させることができるとされています。

 

しかし、労働基準法第37条では、いわゆる三六協定によって、法定労働時間を超える労働をさせたときには、割増賃金の対象となると定めていますので、1日8時間労働で週6勤務という契約であったとしても、法定労働時間を超える時間外労働は、割増賃金の対象となります。

緊急電話の待機時間も労働時間に含まれる可能性がある

緊急電話待機時間も労働時間に含まれる可能性があります。

 

上記のとおり、会社の指揮命令下に置かれている業務については、労働時間として認められます。労働時間に認められるかどうかは、業務の内容、明示又は黙示の業務指示の有無、業務の頻度、場所的拘束の有無等によって総合的に判断されます。

 

また、最高裁一小平成14年2月28日判決では、仮眠時間について労働時間制を判断しましたが、その判断枠組みとして、「指揮命令下」かどうかは、労働から解放されているかで判断しました。

 

緊急電話待機時間においても、電話の頻度が多く、待機場所が指定されている場合などには労働から解放されていないと解されますので、労働時間に該当する可能性が高いと言えるでしょう。

 

他方で、電話の頻度が少なく、電話対応時間以外は基本的に自由に行動していてよいということになれば、労働時間に該当しない可能性が高いと言えそうです。

労働時間はあらゆる証拠によって立証することができる

労働時間の立証方法に法律上の制限はありませんので、あらゆる方法によって労働時間を立証することが可能です。

 

労働の対価である賃金を請求するためには、労働者において、労働を行ったこと(労働時間)を立証する必要があります。立証資料としてはタイムカードがポピュラーですが、営業職の方の場合には、タイムカードでの管理がなされていないことが多いでしょう。

 

労働時間の立証方法に制限はありません。そのため、タイムカード以外に労働時間を立証するものとしては、「勤務時間整理簿」「シフト表」「出退勤表」「タコメーター」「入退館に関するIDカードの記録」「日報」「手帳」など様々考えられます。状況によっては、Googleマップのタイムラインやメール・LINEアプリなどの履歴も証拠となるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。伊藤ケンタさんのご質問は、労働問題にお困りの方から良くお問い合わせ頂く内容ではありますが、知らないこともあったのではないでしょうか。

 

労働問題について少しでも疑問に思われたら、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

 

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