(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス禍をきっかけに、ビジネスだけでなく、プライベートでも「LINE」や「Zoom」といったオンラインツールの利用が急速に広がりを見せています。それらは使い方によっては思わぬ効用をもたらしてくれることがあります。ベストセラー『人は見た目が9割』(新潮新書)でおなじみの劇作家・演出家 竹内一郎氏が、著書『マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション』(春陽堂書店)で解説します。

思わぬ成長のきっかけになる「リモート異業種異世代交流」のススメ

私は年老いた両親と離れた場所に住んでいます。施設にも入らず2人で暮らしてくれているので、息子としては助かっています。

 

ですが、電話だけだとコミュニケーションが心もとないので、1週間に5回程度はZoom対話を楽しんでいます。

 

2人とも老人ですので機械は苦手ですが、PCの基本設定をし、「この通りにやるんだよ」と操作方法をわかりやすく紙に書いて、繰り返し説明しました。

 

また、PCを他のことに使うと不具合のもとになるので、Zoom専用のものを購入しました。

 

カメラ、マイク、スピーカー、それぞれ高価なものではありませんが、それなりに性能のよいものを取り付けてあります。母の声が小さいので、マイクとスピーカーは特に役立っています。

 

幸運なことに、不具合はほとんどありません。

 

93歳の父、89歳の母、65歳の私がほとんど毎日、お互いに顔を見ながら話せるのです。両親とも「便利な時代になったなあ」と喜んでいます。

 

また、私自身も両親のZoomが不具合なときや操作にまごまごしているときなど、遠隔でやさしく“指導”しているうち、随分忍耐強くなりました。

 

テレワークに、忍耐は必須の能力です。

 

オンライン会議や授業でも、不具合が起きたときや相手が不慣れで戸惑っているときなど、やさしく(ここが重要です)わかりやすく、導いてあげられるようになりました。

 

ITスキルが高い人がいて、その人のおかげで不具合が解消したとしても、言葉がきつかったり、「そんなことも知らないのか」という空気が画面を通じてでも感じられたりすると、不具合の発端となった人の心は凍り付きます。

 

ただでさえ「皆を待たせて迷惑をかけている」と恐縮しているところ、ますます舞い上がってしまい、マウスを握る手も震えてしまうかもしれません。

 

ITスキルの低い人は、ITスキルの高い人に対して、想像以上に委縮するものです。

 

「ファンクションキーを押してみて」と言っても、ファンクションキーを知らない人はどれを押せばいいのかわかりません。キーボード上に「ファンクション」とは表示されていないのですから。

 

そうしたことを高齢の両親とのZoom対話を通じて、私も気付くことができました。

 

ビジネスの現場や大学で出会う人たちは「ITスキルが低い」と言っても、想像の範疇です。老人の「ITスキルが低い」を一度、経験してみてください。想像の域を遥かに超えていきます(たとえば、手が震えて、ダブルクリックがなかなか“成功”しません)。

 

私の場合は対面で教えられたのでまだよかったですが、これが最初からリモートだったら、どうなっていたかと思います。

 

反対に、大学にいる世界レベルのITスキルの持ち主や学生たちからも驚かされることが沢山あります。たとえば、アプリの不具合があったとき、いろいろな角度から問題のありそうな箇所を検証し、解決していきます。それも横で見ている私が舌を巻くほど瞬時にやってのけるのです。

 

ビジネスだけでなく、まったく違う場所の、まったく違う年齢の人たちとオンラインで交流することをおすすめします。

 

ITスキルとともに、やさしさや忍耐力も培われていくことと思います。

 

【重要!】様々な人とオンライン交流することで成長できる。

 

 

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マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション

マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション

竹内 一郎

春陽堂書店

115万部突破!! 『人は見た目が9割』(新潮新書 2005年)著者が、マスクをしたまま・リモートでのやりとり…、でも円滑なコミュニケーションを取る極意を伝授!

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