(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナウイルス禍のなか、マスクを着けた状態で人と話すことが多くなりました。表情や口の動きが見えないので、伝えたいことを的確に表現するのは案外難しいものです。そこで、マスクを着用した状態でのコミュニケーションのコツについて、ベストセラー『人は見た目が9割』(新潮新書)でおなじみの劇作家・演出家 竹内一郎氏が、著書『マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション』(春陽堂書店)で解説します。

話し方で注意すべきこと

普段から、もごもごと口の中でしゃべっている人や早口の人はマスクを着けていると、さらに何を言っているかわからないということがあります。

 

何度も聞き返されていると、会話のリズムが悪くなるものです。

 

マスクを着けているときは、普段よりゆっくり話す工夫をする必要があります。自分が小学校低学年の先生になったつもりになるといいでしょう。

 

相手が「理解力の低い人」だと思うと、誰もが「抑揚をたっぷりつけて、ゆっくり目に」話すものです。

 

また、一音一音をはっきり話す癖を付けましょう。

 

試しに、「あいうえお かきくけこ」と一音ずつ、ゆっくりはっきり発音してみると、聞き取りやすい声が自分でも確認できます。

 

【重要!】小学校低学年の先生になったつもりで話す。

 

大切な情報は、話す前に整理しておく

次に覚えていただきたいことは、「話す前に、最も大切な情報を整理しておく」ということです。

 

相手に「この資料は、明日の17時までに完成させてください」と伝えたいのなら、「明日の17時」が最も大切な言葉です。

 

なので、相手に伝えるときは「明日の17時」のところを強調します。

 

この癖を付けておくと、簡潔に話す習慣も付いてきます。

 

自分が最も伝えたいことは何かということを人は案外、意識せずに話をしがちです。それを明確にしておくだけで、あなたの話はぐっと伝わりやすくなります。

 

オンライン(リモート)会議でまとまりのない話を延々と聞かされると、うんざりするものです。

 

マスク時代の社会は多くの情報を早く伝えるより、大切な情報だけを強調して伝える社会だと言えましょう。

 

【重要!】自分が最も伝えたいことは何かを考え、整理する。

 

「間(ま)」を活かす

最も伝えたいことが整理できたら、それを強調した話し方をしましょう。相手により効果的に伝えることができます。

 

難しいことはありません。ある言葉を強調しようとするとき、その前に「間(ま)」を空けるだけです。

 

たとえば、次のような言葉を伝えるとき。

 

「明日、私、あなたと、海に、泳ぎに、行きたい」

 

もし、伝えたいことの中で一番大事なのが「あなた」なら、あなたの前に「間」を入れます。自分1人で行くのではなく、「あなたと一緒に」行くことが大事なんだと相手に伝わります。

 

「海」が大事なら、「海」の前で「間」を入れます。プールや川で泳ぐのではなく、海で泳ぐことが大事ということが伝わります。

 

 

「間」は「次の言葉が大事ですよ」というサインになります。というのも、相手にとって「間」があるということは、次の言葉を聞く余裕ができるということだからです。

 

「間」の後の言葉は、相手の記憶にはっきりと刻まれます。耳の遠いおばあちゃんに話すときの要領と同じです。

 

マスク時代はしゃべりにくい分、対面コミュニケーションが面倒です。

 

しかし、相手に丁寧に伝える習慣が付くチャンスの時代とも言えるのです。

 

【重要!】間は「次の言葉が大事ですよ」というサイン。

 

次ページ声はこれまでよりも気持ち大きめに
マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション

マスク時代リモート時代の《新》コミュニケーション

竹内 一郎

春陽堂書店

115万部突破!! 『人は見た目が9割』(新潮新書 2005年)著者が、マスクをしたまま・リモートでのやりとり…、でも円滑なコミュニケーションを取る極意を伝授!

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