(画像はイメージです/PIXTA)

交通事故の被害に遭い後遺症が残ってしまった場合、適切な金額の慰謝料請求等を算定するために必要なのが「後遺障害等級」です。しかし実際に等級が決まったとき、本当に症状に対する等級が妥当なのかはわかりづらく、しばしば当事者間でトラブルの種になります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、後遺障害等級認定の妥当性について古山隼也弁護士に解説していただきました。

等級の繰上げを目指すなら「併合」のルールに注目

異議申立てによってトータルの等級の繰上げを目指す場合、「併合」のルールを理解する必要があります。むち打ちによる手の痺れや腰のヘルニアによる足の痺れの箇所でご説明したとおり、異議申立てによって個別の症状に関する等級が上がっても、トータルの等級が繰り上がらないことがあるからです。

 

併合のルールによると、13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害の等級を1級繰り上げます。

 

つまり、たとえば12級に該当する後遺障害が2つあって併合11級と認定されていた場合、異議申立てによって12級に該当する後遺障害が3つになっても、併合11級というトータルの等級は変わりません。

 

バネッサさんの場合、既に併合10級と認定されています。したがって、この併合10級の内訳によって、異議申立てによって併合10級の繰上げを目指すことができるかの判断が分かれます。

 

もし、複視で10級2号、むち打ちによる手の痺れや腰のヘルニアによる足の痺れでそれぞれ14級9号の認定を受けていた場合、異議申立てによってむち打ちによる手の痺れや腰のヘルニアによる足の痺れのどちらかで12級13号の認定を受けることができれば、トータルで併合9級に等級を繰り上げることができます。

 

ですが、もし斜視で11級1号の認定を、むち打ちによる手の痺れで14級9号の認定を、腰のヘルニアによる足の痺れで12級13号の認定を受けていた場合、異議申立てをして腰のヘルニアによる手の痺れについて12級13号の認定を受けても、トータルは併合10級のままで変わりません。

 

したがって、バネッサさんがトータルの等級を繰り上げたいと考えて異議申立てを検討される場合は、各症状について等級の上がる可能性の有無を判断するだけでなく、併合のルールについても考える必要があるのです。

示談中の異議申立ては、交渉が中断される?

バネッサさんは保険会社から「後遺障害の等級に納得してもらわないと示談交渉できない。」と言われているため、示談交渉に入ってから異議申立てできないか疑問に思われているようです。

 

結論から言いますと、示談交渉に入ったあとに異議申立てできないというルールはありません。ですが、示談交渉中に異議申立てをすれば、保険会社は交渉を中断する可能性が高いでしょう。

 

その理由は、後遺障害等級は後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益といった被害者の損害の算定に大きな影響を与えるからです。

 

たとえば、後遺障害慰謝料は、裁判所の基準によると、バネッサさんの現在受けている等級である10級だと550万円ですが、もし異議申立てによって9級に繰り上がった場合は690万円に増額します。つまり、後遺障害慰謝料だけで140万円もの違いが生じるのです。

 

また、後遺障害逸失利益も影響を受けますので、10級から9級への繰り上がりによる増額はもっと幅が大きくなる可能性があります。示談交渉は話し合いで保険会社が被害者へ最終的に支払う金額を決める手続きですので、このような損害額に大きな影響を与える可能性のある後遺障害等級が確定しないと、示談金額について協議することは難しくなります。

 

そのため、保険会社は、後遺障害等級の異議申立てをするのであれば、その結果が出るまで示談交渉に応じないとすることも珍しくないのです。

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