「社長肝いり事業」の予算は社長が細部まで決める
将来の利益につながる投資は当期の利益を減らしてでも行うべき旨を記載しましたが、社長の肝いりプロジェクトもまさにこのケースであり、採算度外視で進められる場合があります。それらは会社の将来をかけた重要なプロジェクトです。
そのような事業は営業利益のみならず売上高や経費に至る全ての項目についての予算を、社長自らがプロジェクトリーダーとなり目を光らせる必要があります。
社長がある程度放っておいても利益を獲得できるようになったほかの事業と異なり、将来の会社の命運を担う可能性のあるそれらの事業については、中途半端な利益予算を掲げるべきではないかもしれません。
それこそ投資の段階では、赤字予算とすべき可能性もあります。利益が出なくてもよし、とする予算は社長以外では推進しにくいものです。経費の使い方や、売上を獲得するタイミングの算段は難しい上、成果が挙がらなかったときの責任は誰も取りたくないものです。
しかし、会社の命運を担うと社長が目論む以上、重要であり推進しないわけにはいきません。こういったものの予算は、細部も社長主導で決めるべきでしょう。
営業利益以外の損益予算は当期純利益までの損益予算を作る場合、営業利益以外の項目(営業利益から当期純利益に至る各項目)の予算組みは、経理担当者に任せます。
そもそも営業利益以外の項目には、営業外収益、営業外費用、特別利益、特別損失、法人税等しかなく、各活動単位のメンバーが関与できないものばかりです。内容自体も経理担当者が主に把握するものであり、経営者もあまりタッチしない(できない)ものとなります。
川崎 晴一郎
公認会計士・税理士
KMS経営会計事務所・株式会社KMS代表