「やめる」という選択は難しい
経営者のみができる重要な決定の1つに、「やめる」ことを決める、があります。いきなりネガティブっぽい内容から入ってしまいました。
しかし、これができない経営者によって苦境に陥ってしまっている会社を何社も見てきました。また、これがタイムリーにできているために会社の新陳代謝が正常に機能して、ずっと成長し続ける会社も何社も見てきました。
私がクライアントから利益を伸ばすためのアドバイスを求められた場合、たとえ全体的に儲かっていたとしても、最初に考えるのがこの内容です。
各数値を見ながら「何かやめられることはないかな」と。ちなみに、再生会社の再生計画で1番はじめに検討されるのが「やめる」選択です(というよりも、その検討がほぼすべてです)。
つまり、経営者が自主的に「やめる」選択ができずに苦境に陥ったものの、他人(再生アドバイザーなど)の半強制的なアドバイスで「やめる」選択をする結果、その会社は復活できるということです。
自主的に「やめる」選択ができていれば、再生会社にならずにむしろ成長できていたかもしれません。
ところで、なぜ苦境に陥る経営者は「やめる」選択ができないのでしょうか。それは、1度始めたことをやめるのは難しいことだからです。
●なぜやめなければならないのか腑に落ちない(1度始めたことをやめるのはそもそも精神的につらい、やっていることを全部成功させればよいのではと思う)
●やめるべきこととはどのようなものかを特定するのが難しい
●やめるべきことが特定されたところで、どのようにやめたらよいかわからない
といった事情が重なるのです。