「一発屋企業」と「儲かり続ける企業」の決定的な差【公認会計士が解説】

「一発屋企業」と「儲かり続ける企業」の決定的な差【公認会計士が解説】

世の中には、商品やサービスが爆発的にヒットした企業であっても、倒産したり鳴かず飛ばずの状況に陥ったりする企業は少なくありません。では、単発で儲かったとしても次のヒットが生まれない「一発屋企業」と、「儲かり続ける企業」にはどのような違いがあるのでしょうか。KMS経営会計事務所の代表である公認会計士・税理士の川崎晴一郎氏が解説します。

「儲かっている活動単位」への目付け

経営者のみができる重要な決定の1つである「やめる」という選択は、いま儲かっていない活動単位が対象となります。一方でいま儲かっている活動単位はどのようなことを注意すべきでしょうか。

 

基本的に儲かっている活動単位は、比較的楽に利益を増やせるため、商品・サービスを安定供給できるようにしたうえで、さらにリソースを投下します。儲かっている活動単位の利益最大化が会社全体の利益最大化につながりますので、その加速は重要です。

 

このタイミングでは、営業利益を増やすための4つの切り口のうち、P(販売単価)やV(1個あたり変動費)はバランスが取れている状況であり、主としてQ(販売数量)を増やすことによって利益を増やすことになります。

見落としがちな販売数量(Q)を増やすための施策

Qを増やすためには営業人員を増員して、広告を増やして、DMを送って、販路や商品ラインナップを増やして横展開……と、とにかく外向きの活動に目が向きがちです。

 

しかし、社内が忙しくなりすぎて注文量に対応できず結果的にQを増やせない場合があります。社内に想定以上の販売量をさばくための仕組みがなく、対応がつぎはぎで場当たり的になってくると、社員はものすごく忙しく感じるうえ(むしろ混乱)、商品やサービスの品質が落ちてしまい、よいことがありません。

 

商品・サービスを安定供給するための社内の仕組みがなければ、いくら外向きの活動を増やしたところでQを増やすことができません。

 

「よい商品・サービス」(差別化され、1単位販売あたりの利益が大きいもの)と、それを喜んで購入してくれる「よい顧客」を上手くマッチングできるようになると「儲かる事業」となりますが、それをさばける「会社内の仕組み」(よい組織)がないと利益増加に天井がきてしまうのです(図表1)。

 

[図表1]利益を極大化するための構図

 

会社内の仕組み作りも、本来であればQを増加させる施策として各活動単位の責任者が考えるべき内容かもしれません。

 

しかし、外向きの活動のみならず社内の体制作りがQを増やすうえでポイントとなることについて意外と多くの会社で見落とされがち(あるいは放置気味)であることを鑑みると、もしかすると内部の体制作り(業務フローの構築、業務分担のルール作り、業務のマニュアル化やデジタル化など)については、管理者クラスである各責任者には荷が重い内容となっているのかもしれません。

 

まだまだ市場シェアを伸ばせるはずなのにQが伸び悩んでいる場合、経営者は、外向きの活動に上手くいっていない部分があるかもしれないという視点が重要なのですが、それだけでなく、もしかしたら内部に問題があり、それは責任者レベルで対応が困難なのかもしれないという視点も持ってフォローするようにしてください。

 

儲かっている活動単位であれば、専門のコンサルタントを雇って仕組み作りの支援を依頼するのも手でしょう。

 

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    ※本連載は川崎晴一郎氏の著書『秒速決算 ~スピーディに人を動かす管理会計で最高の利益体質をつくる!~』(技術評論社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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