(※写真はイメージです/PIXTA)

世界地図をのぞくと日本はロシア・中国・北朝鮮に囲まれており、現在の世界情勢を照らし合わせると、地政学上大きく危険をはらんでいる国の一つといえます。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による戦場の痛ましい現状の報道を目にして、罪のない人々が苦しむ姿に心痛めるとともに、自国の安全への不安を募らせれている人も多いのではないでしょうか。本連載では「2027年、日本がウクライナになる(他国に侵攻される)」と予測する、元自衛官で「戦場を知る政治家」である佐藤まさひさ氏の著書から一部一抜粋して、日本防衛の落とし穴についての知識を分かりやすく解説します。

北朝鮮の弾道ミサイルは脅しなのか?

先日、私は知人から次の質問を受けました。

 

「北朝鮮がミサイルを撃ってきますけど、あんな貧しい国で、高度な技術はあるんですか? 単なる”こけおどし”ですよね? どうせ当たらないでしょ?」

 

と。私はこう答えました。

 

「”こけおどし”ではありませんよ。残念ながら技術は相当高い。当たらなきゃいいんだけど、当たっちゃう。だからミサイル防衛はしっかりやらないといけないんです」

 

日本もアメリカも「ミサイル防衛」には最大限の努力をしています。しかし万全とは言えません。「防衛するだけ」には限界があるからです。後で話しますが、1発の弾道ミサイルなら撃ち落とせるでしょう。しかし同時に5発6発きたら、パーフェクトに撃ち落とすのはかなり難しい。すでに日本を射程に入れた150発以上が、いつどこに飛んでくるのかは、わからないのです。

 

2016年9月5日。北海道の奥尻島沖に3発の短距離弾道ミサイル「スカッドER」が落下しました。その正確性は衝撃的でした。これを機に、政府の認識も変わりました。防衛省の評価は「ほぼ同じ地点に落ちた」というものだったからです。

 

推定飛行距離はおよそ1,000キロ。東京から鹿児島県までの距離です。その距離を飛ばし、同じ地点に落とす技術を獲得しました。その瞬間から北朝鮮製のスカッドやノドンは、「差し迫った脅威」になったのです。

 

奇くしくもこの日、中国の杭州ではG20(20ヵ国・地域)の首脳会議が開催されていました。北朝鮮の平壌ピヨンヤンから杭州までは1,100キロほど。首脳会議の会場は射程圏内なのです。北朝鮮の真意はわかりませんが「その場にぶち込めるぞ」という脅しにも取れます。

 

北朝鮮は巡航ミサイル(飛行機のような翼をもって飛ぶ)や、大陸間弾道ミサイル(ICBM/1万キロの長距離を射程にする)、さらには「低軌道・変則軌道」の短距離ミサイルなどを開発し、飛翔実験を次々と成功させています。「どうせ当たらない」などと侮ることは、到底できないのです。

 

佐藤まさひさ
参議院自民党国会対策委員長代行
自民党国防議員連盟 事務局長

※本連載は、佐藤まさひさ氏の著書『知らないと後悔する 日本が侵攻される日』(幻冬舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

佐藤正久(現・佐藤まさひさ)

幻冬舎

2027年、日本がウクライナになる――。決して脅しではない。習近平国家主席が4期目を決めるこの年に、世界は大きく動くことになるだろう。ロシア、中国、北朝鮮に囲まれた我が国の危険性は、日増しに高まるばかりである。ロシ…

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