中国でも物価上昇…2015年以来の「円安元高」水準
「カネは世につれ、世はカネにつれ」……。往年の名文句(?)をいまほど実感するときはないだろう。カネはカワセに置き換えてもいいかもしれない。そう、世界的に加速する米ドル高だ。
日本では24年ぶりに1ドル=140円を超えたことが大きな話題になっているが、ここ中国でも9月中旬に1ドル=7元の水準を突破し、「元安ドル高」が意識されている。
もっとも、中国に住む日本人としては正直ピンとこない。我々がより重視するのは人民元と日本円のレート。実はこちらも大変なことになっており、1元=20円を突破して「円安元高」が進んでいる。この水準は2015年以来のことだ。
ちょうど10年前の2012年は1元=12円程度だった。中国の物価もいまほどは高くなく、日本からの出張や旅行では円高メリットを享受できた気がする。1万円を両替すれば800元程度になったものだ。だが、いまや500元にも満たず、1万円の価値の下落を否応なく実感してしまう。物価は上昇中なのでさらに目減り感が増す。なかなか厳しい時代である。
中国の日常生活ではもちろん人民元を使用しているが、頭のなかでつい円換算してしまう。最近は1元=20円でサクサク計算。上海の地下鉄初乗り料金は3元(60円)と安い。タクシーの初乗り料金16元(320円)も許容範囲。
ただ、スターバックスのトールラテは33元(660円)で、日本の455円よりかなり高い。筆者にとっては"高嶺の花"だ。上海でも人気のラーメン店「一風堂」では、定番の「赤丸新味」が55元(1100円)。こちらも日本より高いだろうか。
そして上海ディズニー。たとえば国慶節連休のピーク時に行くと、1日パスポート券が大人1人659元(1万3180円)。家族3人で行くと食事代やお土産代を合わせて軽く5万円は超えてしまいそうだ。
この「円安元高」は日本であまり報じられていないと思う。理由としては、新型コロナ対策に伴い日中間の移動がほぼストップしていることが挙げられよう。庶民レベルではメリットやデメリットを感じる場面が少なく、大きな話題になりにくいようだ。もちろん企業経営面では大きな影響を受けているところも多数あるのだが。