(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢者の仕事やボランティアの面接で、自分がいかに偉かったかを披露する方がいます。高齢者に求められるのは、すごい人より一緒に働きたくなる穏やかで気の利く人です。老人医療に詳しい精神科医の和田秀樹氏が著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)で解説します。

頼られ過ぎても老後生活を楽しめない

■能力をあえて隠すのが、これからの「ボケ力」

 

仕事を引退して、新しい場所に参加するときに気をつけたいことがあります。それは「能ある鷹は爪を隠す」ことです。

 

Hさんは、企業の経理畑にいました。パソコンもお手のものです。そのため、仕事を引退して自治会の仕事に参加しようとしたときに、自分が大きな企業でどんなに有能な人材だったか自慢してしまったそうです。

 

自治会の人たちは、そんな人材を待っていましたと、Hさんに経理や地域のまとめ役をお願いしてきました。Hさんは断り切れずに、いまは自治会長をして毎日働いています。

 

「本当は少し手伝うはずが、どっぷり任されてしまって、趣味の釣りもあまりできない状態です。後進を育てないと抜けられません」

 

と苦笑いをしています。Hさんは能力もあり、けっこうやりがいになっているからいいと思いますが、最初から自分の能力を披露してしまうのは危険かもしれません。

 

参加するグループがどういうものかじっくり見て、自分がどこらへんを手伝えるのか見極めて能力を出していきましょう。頼られ過ぎて疲れたら、せっかくの老後生活も楽しくなくなります。

 

こういう話もあります。

 

高齢者の仕事やボランティアの面接で、自分がいかに偉かったかを披露する方がいます。面接には自己アピールが必要なので、悪気はないのかもしれませんが、上から目線のものの言い方になってしまうことがあります。まわりが自分より若い人ですから仕方ないこともありますが、気をつけたいところです。

 

「こんな偉い人は、ほかの人とうまくいかないのではないか」「そんなに偉い方に見合った仕事ではないです」とお断りされてしまいます。

 

たしかに、あなたは能力がありました。仕事をバリバリとこなし、子どもを立派に育て、やってきたことは多いかもしれません。

 

でも、それらが全部新しい場所で役に立つかはわかりません。そして、いまのあなたが昔のあなたではないかもしれません。前にできていたことがいまできるかどうか、体力知力が40代50代の壮年期とは違ってきています。若いときはすごかったという話は、あまり強調しないほうがいいかもしれません。

 

高齢者に求められるのは、すごい人より一緒に働きたくなる穏やかで気の利く人です。能力は半分ぐらい伝えて、「なにせ年ですが、気持ちだけは若いので、新しいことも挑戦します」「少しボケていてもよろしく」とニコニコしていたほうがいいのです。

 

一緒に働いてみて、まわりが「あの人、年寄りと思っていたけど、できる人だね」「なんか昔はすごいスーパー営業マンだったらしいよ」と言われたほうがお得です。

 

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本連載は和田秀樹氏の著書『80歳の超え方 老いは怖くないが、面倒くさい』(廣済堂出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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