ハンセン指数 17,222.83 pt (+0.33%)
中国本土株指数 5,914.08 pt (+0.03%)
レッドチップ指数 3,338.65 pt (+0.57%)
売買代金849億1百万HK$(前日916億8万HK$)
米国利上げや欧州エネルギー危機への警戒感は継続
米国株式市場は28日に大幅反発したものの、昨夜は一転してリスク回避の動きが強まった。S&P500指数は、前日比2%を超える下げとなり、年初来安値を更新した。米連邦準備制度理事会の急速な利上げに伴う景気減速懸念に加え、欧州ではエネルギー危機の可能性が取り沙汰され、センチメントは芳しくない。
欧州では高止まりするインフレの状況がさらに悪化することへの警戒感が再燃した。ドイツ連邦統計庁が29日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で10.0%上昇し、約70年ぶりの高い水準となった。
エネルギーや食品の価格高騰は深刻で、エネルギー価格は同43.9%、食品価格は同18.7%それぞれ上昇した。ノルドストリームのガス漏れが、何者かの意図した爆破である可能性が高いことも、欧州のエネルギー危機の恐怖を煽る材料となった。
市場では早くも、欧州中央銀行(ECB)の次回政策理事会で75bpsの追加利上げが実施されるとの見通しが強まっている。また、英国経済や欧州経済のリセッションリスクへの懸念が強まっている。欧州発の混乱は、グローバルに波及している。
為替相場では、米国経済が指標からも他国との比較で堅調と見受けられることから、米ドルが選好されやすい米ドル一強のムードが漂う。
中国の国慶節を前に香港は自律反発。中国PMIの上振れも材料に
30日の香港株式市場は米株安を受けて朝方、大きくマイナスにふれる場面もみられたが、国慶節の連休前で、ポジションを膨らませたくない参加者が多かったことや、11年ぶりの安値を連日更新していたことから、ハンセン指数は自律反発に転じ、前日比0.33%高で引けた。
為替相場では、中国人民銀行が、人民元安を抑えるため、大手銀行に元買いドル売りを準備させたなどと伝わった他、不動産市況のテコ入れ策で金融支援の構えを強めたことが人民元の下支え材料となった。
9月の中国製造業PMIも、予想外に上振れたことも支援材料となった。ただ、中国サービスPMIは前月から下振れた点も見逃してはならない。
中国人民銀行は29日、一部都市で初めての住宅購入者向けローン金利の下限を段階的に引き下げることを地方政府に認めると発表した。声明によると、地方政府は2022年末までに、ローン金利の下限金利を維持するか、引き下げるか、廃止するかを決定するという。需要の喚起によって、不動産価格を下支えし、低迷する市場を活性化することが狙いとされる。
また、人民銀行は、不動産取引の信頼回復と不動産価格の安定を最優先に確保する必要があると指摘した。これらを受けて本土不動産株は大幅に反発した。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比1.92%高と相場を押し上げた。同業の碧桂園(2007)は8.9%高となった。
その他には、ここ数日、大幅に売られていた景気敏感株が買われた。アルミメーカーの中国宏橋(1378)は4.3%高、中国四大銀行の中国建設銀行(0939)は2.9%高、中国工商銀行(1398)は2.7%高、大手保険の中国人寿保険(2628)は2.3%高となった。
一方、ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比0.93%安と3月に付けた指数設定来の安値を更新した。金利の上昇に影響を受けやすいIT・ネット株、自動車株が相場を押し下げており、値の重い展開が続く。
本土株市場は上海総合指数は前日比0.55%安の3,024.39、CSI300指数は0.58%安の3,804.89と3日続落した。本土市場は国慶節の祝日に伴い10月3〜7日にかけて休場となる。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>