税務調査は「ある日突然」知らされる
個人で事業をしている人や、不動産所得がある人の場合、その所得税の申告内容について、税務調査が入ることもあります。
顧問税理士がついている場合は、その税理士あてに調査の事前連絡が入るのですが、法人と異なり所得税の場合、自己申告している人も多いため、申告者本人にある日突然税務署から「税務調査に伺いたい」との連絡が入ります。
税務署からこのような連絡が入った場合、多くの人は慣れていないため戸惑い、どうすればいいのかわからなくなることと思います。ではそのような場合、どのように対応したらよいのでしょうか?
そもそも税務調査とは?
日本において、個人の所得税の確定申告は「自己申告制度」となっています。自己申告制度とは、納税者が自らの計算で所得を求め、税金を計算し、納税するという仕組みです。
自主申告制度ですので、皆が正しい申告書を作成しているとは限りません。このため、国税庁や税務署が、その提出された申告書は税法通りに正しく申告されているか確認するために来るのが税務調査です。
税務調査には大きく分けて強制調査と任意調査の2つあります。
① 強制捜査
国税庁の査察部が裁判所の令状をもって、強制的に行う税務調査です。映画「マルサの女」の世界ですね。
これは「脱税額が1億円を超える」「脱税の隠蔽工作が悪質」などの場合に行われ、納税者は税務調査を拒否できません。通常は、よほど悪質でないと強制捜査を受けることはありません。
② 任意調査
一般的な調査はこちらです。任意調査は税務署から電話で訪問日時などの連絡が入るため、基本的に突然訪問されることはありません(現金商売などの場合を除く)。
税務署の職員には「質問検査権」が認められており、正当な理由なく帳簿書類の提示などの要求に応じない場合には罰則があります。
その規定は国税通則法第128条に、「調査の質問に対し返答せずもしくは偽りを述べた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する」と規定されています。このため、任意調査とはいえ実質的には拒否することはできないこととなっています。
ただし、同じく国税通則法第74条8においては「職員による質問検査権は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」と規定されており、税務調査は犯罪捜査ではないため、あたかも犯罪を犯しているような接し方を納税者に対しするなと規定されています。
あまりにも調査官に失礼な言い方をされた場合は、このような規定がある旨を指摘するのもよいでしょう。
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