スマホやタブレットなどで「健康支援アプリ」を活用
生命保険大手のM社は、2019年から、AI管理栄養士が食事・運動などの毎日の生活をサポートする「健康支援アプリ・プログラム」を始めました。健康支援アプリは、スマホ・タブレット・パソコンなどから利用でき、動画やクイズなどで健康に関する知識を配信したり、生活習慣に関するアンケートをもとに健康行動を提案したりします。
企業側も利用状況データを確認できるので、企業健康度を随時把握することが可能です。同社ではプログラム導入後、従業員から「体重が減少した」「BMI値が改善した」といった声が多数あがっているそうです。
ソフトウェア開発のA社が導入したのは、「睡眠動画コンテンツ・プログラム」です。このプログラムは、動画コンテンツなどを通じて、睡眠に関する基礎知識のほか、自分の仕事のタイプに応じた睡眠の質を高めることができます。同社によると任意でのプログラムへの参加にしたにもかかわらず、約60%の社員が視聴したそうです。
企業の「健康SDGs」の具体的な効用は
従業員の健康管理や健康づくりを目指す「健康SDGs」は、一定のコストはかかりますが、企業にとっても大きなメリットがあります。例えば「自社のイメージやブランド力が高まる」ことです。SDGsが掲げる「すべての人に健康と福祉を(目標3)」、「働きがいも経済成長も(目標8)」の達成に努力していることをアピールでき、将来的にはESG投資などの対象になることも期待できます。
健康SDGsの実践を通じて、労働市場で「従業員を大切にする会社」というイメージが高まれば、優秀な社員を採用しやすくなります。社員も安心して仕事することができ、離職率や病気による休職率も低下しやすくなります。
企業のサポートを背景に従業員の「健康力」が高まれば、生産性の向上も期待できます。「自社で働く人たちを大事にする会社」だというイメージが従業員に浸透すれば、会社への忠誠心や仕事へのやる気が高まりやすくなるためです。結果として会社組織が活性化し、業績の改善につながるわけです。こうした意味で、企業の従業員の健康サポートの流れはさらに強まっていくと考えられます。
(編集協力 P&Rコンサルティング)