(写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生すると、必要な手続きや書類、確認事項がたくさん出てきます。遺言がある場合とない場合でも手続きの流れが変わるため注意が必要と、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。みていきましょう。

期限のある主な相続手続き

相続手続きのなかには、期限のある手続きが存在します。それぞれの手続き期限に注意して、期限内に手続きを済ませるようにしましょう。

 

死亡届の提出

死亡届は、原則として死亡後7日以内に提出する必要があります。死亡届の提出先は、死亡者の死亡地や本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場です。死亡届を出さないと火葬に必要な火葬許可証がもらえませんので、通常はこの手続きを忘れることはないでしょう。

 

住民票の世帯主変更届など役所関係の手続き

葬儀が終わったら、すみやかに役所関係の手続きを行います。必要な手続きは被相続人の生前の状況などによって異なりますが、主な手続きは次のとおりです。

 

・住民票の世帯主変更届:死亡後14日以内。世帯主が死亡した場合で、残った世帯員が2人以上いる場合に必要です。


・年金受給者の死亡届:死亡後14日以内(国民年金の場合は10日以内)。年金の受給を止めるための手続きです。期限に遅れると、多くもらいすぎてしまった年金の返還が必要となります。同時に、未支給年金があればその受給手続きをするとスムーズです。なお、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人については、原則届け出をする必要はありませんが、未支給の年金が残っているようなケースでは、その未支給の年金を受給するには未支給年金請求の届出を出す必要があります。


・介護保険資格喪失届:死亡後14日以内。介護保険証を返納する手続きです。

 

なお、最近では役所内にワンストップで手続きができる窓口があったり、必要な手続きの一覧を渡してくれたりする役所が少なくありません。

 

相続放棄

相続放棄を希望する場合には、原則として自己が相続人になったことを知った日の翌日から3ヵ月以内に手続きを行わなければなりません。

 

相続放棄とは、相続人がはじめから相続人ではなかったこととするための手続きです。相続放棄が認められれば被相続人の借金などマイナスの財産を引き継がずに済む一方で、不動産や預貯金などプラスの財産も一切相続することができなくなります。被相続人に借金が多くその借金を引き継ぎたくない場合や、他の相続人と一切関りを持ちたくないなどの理由で行うことが一般的です。

 

相続放棄の手続きは家庭裁判所で行いますが、郵送でやり取りをすることも可能です。自分で手続きをすることに不安がある場合には、弁護士や司法書士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

 

準確定申告

準確定申告とは、亡くなった人について行う確定申告のことです。通常の確定申告とは、期限や対象期間が異なります。

 

通常の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの所得を、原則として翌年2月16日から3月15日のあいだに行います。一方、準確定申告の期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から4ヵ月以内です。

 

被相続人に事業所得や不動産所得がある場合のほか、亡くなる直前に不動産などの資産を売却していた場合などには、忘れずに申告と納税をするようにしましょう。

 

相続税の申告

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。相続税の申告が必要となる場合には、必ず期限内に申告をするようにしましょう。

 

なお、相続税の申告にはそれぞれの財産の評価など、膨大な作業が伴います。そのため、申告期限ギリギリで税理士を探し始めるのでは、税理士に断られてしまう可能性や申告期限に間に合わない可能性が高いでしょう。相続税の申告が必要となりそうな場合には、できるだけ早い段階から税理士に相談するなど準備をしておくことをおすすめします。

 

不動産の相続登記

2022年現在、不動産の相続登記には期限はありません。しかし、相続後に名義変更をしないまま放置されることが所有者不明土地を増大させることにつながっており、社会問題となっています。

 

そのため、2024年4月からは、相続登記に期限が設けられることとなりました。改正後は、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記を行わなければなりません。特に理由のないまま期限を超過した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。今後は、不動産の名義変更についても期限内に行うように注意しましょう。

 

生命保険金の受け取り

生命保険金を受け取る権利は、相続の開始から3年で時効によって消滅してしまいます。相続が起きて、自己が受取人に指定された生命保険契約を発見した場合には、できるだけ早期に請求手続きを済ませておきましょう。

 

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