(写真はイメージです/PIXTA)

相続によって「空き家」を承継した際、今後も誰も住む予定がなく売却する場合には、税金対策できる特例があると相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。どのような特例か、詳しく解説します。

相続により「空き家」を取得した場合

相続によって「被相続人の所有していた自宅」を承継したが、承継した自宅には誰も住む予定はないという場合、その自宅は空き家になってしまいます。このように、空き家を承継した場合、どのように対応すべきなのでしょうか? 空き家だからといって、放置しておいても良いのでしょうか? 答えは「No」です。

 

空き家を放置すると、建物が劣化したり、草木が生えてきたりするため、管理費用がかかってきます。また、防犯の観点からも空き家の放置はお勧めできません。第三者が空き家に放火をして、隣の家に延焼してしまったら、空き家の所有者として損害賠償請求を受ける可能性もあります。

 

さらに、空き家だからといって、固定資産税がかからないということはありません。毎年、固定資産税が課税されますし、管理状態が不十分で「特定空家」に指定されると住宅用地の特例の対象から除外され、固定資産税が大幅に増加する可能性もあります。

 

そのため、空き家については、速やかに売却や第三者への賃貸などを検討されるとよいでしょう。相続によって取得した空き家については、一定の要件を充たせば、売却にかかる譲渡所得税を低く抑えることも可能です。ここでは、相続によって取得した空き家に適用できる特例について、詳しく解説いたします。

「空き家特例」とは?

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋または居住用家屋の敷地等を、平成28年4月1日から令和5年12月31日までのあいだに売り、一定の要件にあてはまるときは、譲渡所得の金額から最高3000万円までを控除することができます。これを、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例「空き家特例」といいます。

 

この特例の趣旨は、税制上の優遇措置により、空き家の最大の要因である「相続」に起因する古い空き家およびその敷地の有効活用を促進することにあります。

 

空き家特例を活用すると、どのくらい得になるのか?

売却代金8000万円

取得費(購入代金)4000万円

譲渡費用(諸経費)200万円

 

■特例の適用なし

{8000万円-(4000万円+200万円)}×20%(長期譲渡所得税と住民税の税率)

=760万円

 

■特例の適用あり

{(8000万円-(4000万円+200万円)―3000万円(空き家特例)}×20%(同上)

=160万円

 

※空き家特例を適用できると、譲渡所得税が600万円も減ることになります。また、利益が3000万円以下の譲渡の場合には空き家特例を使うことで所得税がゼロになります。

 

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