(写真はイメージです/PIXTA)

相続が発生すると、必要な手続きや書類、確認事項がたくさん出てきます。遺言がある場合とない場合でも手続きの流れが変わるため注意が必要と、相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。みていきましょう。

相続手続きの流れ:遺言書が「ない」場合

身内が亡くなった際、相続手続きはどのように進めればよいのでしょうか? はじめに、遺言書が遺っていなかった場合の相続手続きの一般的な流れを紹介します。

 

相続人を調査する

はじめに、亡くなった人(「被相続人」といいます。)の相続人を調査しましょう。
相続人となるのは、次の人です。

 

・配偶者相続人:入籍した配偶者がいれば、その配偶者は常に相続人です。


・第一順位の相続人:被相続人の子や、子がすでに他界している場合にはその他界した子の子である孫などです。他家に嫁いで名字の変わった子や、離婚した元配偶者とのあいだの子なども相続人となります。


・第二順位の相続人:被相続人の両親などです。第一順位の相続人が誰もいない場合に相続人となります。


・第三順位の相続人:被相続人の兄弟姉妹や、兄弟姉妹がすでに他界している場合には他界した兄弟姉妹の子である甥姪です。第一順位と第二順位の相続人が誰もいない場合に相続人となります。

 

一般的に、配偶者や第一順位の相続人が相続人である場合には、比較的容易に相続人を把握できるでしょう。一方で、第三順位の相続人が相続人である場合には縁遠い人が混じっていることも多く、把握するのは困難です。

 

いずれにしても、後の相続手続きにおいては相続人を確定するための戸籍謄本や除籍謄本などが必要となりますので、この段階で戸籍謄本などを集めておきましょう。自分で集めることが難しい場合には、弁護士や行政書士などの専門家へ調査を依頼することをおすすめします。

 

相続財産を調査する

相続人の調査と同時進行で、被相続人の遺した財産を調査しましょう。相続人が被相続人の財産状況をある程度把握している場合や、被相続人が財産状況をある程度まとめておいてくれた場合には、調査は比較的スムーズです。

 

しかし、2022年現在、被相続人の財産がどこか国の機関などで一括管理されているわけではありません。そのため、財産状況が不明である場合には、被相続人の住んでいた家を調査するなどして、一つひとつ調べていく必要があります。一般的には、毎年4月から6月頃に市区町村役場から送付される固定資産税課税明細書で、被相続人の持っていた不動産の概要がわかります。

 

ただし、評価が低かったり非課税であったりなどの理由で固定資産税がかかっていない不動産や、他者と共有となっており他者が固定資産税をまとめて支払っている不動産は、固定資産税課税明細書に掲載されません。そのため、これはあくまでも参考としつつ、法務局などで詳細の調査をするようにしましょう。預貯金は、通帳やキャッシュカード、郵送物などがあればその金融機関にある可能性が高いと考えて、調査をしてください。

 

そのほか、証券会社などとの取引は郵便物を確認したり、通帳の入出金履歴を調べたりすることで推測していく必要があります。同居しておらず財産状況が不明である場合や、財産の数が多くてとても調べきれないといった場合には、専門家にサポート依頼することも一つの手です。

 

遺産分割協議を行う

相続財産と相続人が確認できたら、相続人全員で遺産分割協議を行いましょう。遺産分割協議とは、相続人のうち誰がどの財産をどれだけ相続するのかという話し合いです。相続人が1人でも漏れると、遺産分割協議は無効となるため注意が必要です。

 

相続人全員が合意するのであれば、原則としてどのように分けても構いません。話し合いがまとまったら、話し合いの結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。話し合いがなかなかまとまらない場合には、弁護士へ相談しましょう。

 

各財産の名義変更や解約手続きをする

遺産分割協議がまとまったら、相続財産である預貯金の解約や不動産の名義変更などの手続きを行いましょう。相続手続きに必要となる書類は、後ほど詳しく解説します。

 

相続税申告をする


相続財産や被相続人が行った一定の過去の贈与財産の総額が相続税の基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要です。相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。

 

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数


基礎控除額がいくらであるのかを把握しておき、基礎控除額を超えそうな場合には早期に税理士などの専門家へ相談しましょう。

相続手続きの流れ:遺言書が「ある」場合

被相続人が有効な遺言書を遺していた場合には、手続きの流れが大きく異なります。遺言書がある場合の相続手続きの流れは次のとおりです。

 

遺言書の検認手続きをする

遺言書が次のものである場合には、すみやかに検認手続きを行いましょう。

 

自宅などで保管していた「自筆証書遺言」


一方、遺言書が次のものであった場合には、検認は必要ありません。

 

・公正証書遺言
・法務局での保管制度を活用した「自筆証書遺言」


検認とは、以後の偽造や変造を防ぐ目的で行う、家庭裁判所での手続きです。被相続人が遺した遺言書が検認の必要なものである場合には、検認をしなければ名義変更などの手続きに使用することはできません。

 

各財産の名義変更や解約手続きをする

遺言書ですべての財産の行き先が明確に定められていれば、遺産分割協議は必要ありません。そのため、遺言書を使って遺言書どおりに、各相続財産の名義変更や解約を進めましょう。遺言書で遺言執行者が定められていれば、これらの手続きは原則として遺言執行者が行います。

 

相続税申告をする

遺言書の有無と、相続税申告の要否には一切関係がありません。そのため、遺言書がない場合と同様に、被相続人の財産状況などから相続税の申告が必要となる場合には、必ず期限内に申告を行いましょう。

 

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