投資したお金が何年で回収できるのか
■ゼロ円では、不動産売買契約が成立しない!?
諸費用以外に、もうひとつ忘れてはいけないことがあります。通常、不動産を購入するときには不動産を買う契約(不動産売買契約)を交わしますが、それは物件価格が1円以上である場合に限ります。物件価格がゼロ円だと売買ではなく不動産をもらうこと(=贈与)になり、贈与税がかかるリスクがあります。
そこでゼロ円で購入する場合、1円以上の取引価格を設定して売買契約を結びます。つまり、売買契約上ではちゃんとお金を払って売買が成立したことにするのです。
また、お金をもらって購入、つまりマイナスゲットをする場合は「残置物処分費」や「原状回復費」などの名目で請求書を作成し、約束した金額を受け取れば、贈与にはあたりません。
ちなみに贈与税は年間110万円までなら課税されません(このしくみを「暦年贈与」といいます)。正しい会計処理は税理士などの専門家に相談してください。
私たちがターゲットとしている空き家は税金の評価額(固定資産評価額)がおよそ150万〜200万円、高くてもせいぜい300万円くらいです。仮に評価額が200万円で110万円控除されて90万円に贈与税(一律20%)がかかるとしても、大した額ではありません。
つまり、空き家ゼロ円投資では、たとえ贈与税が発生しても恐れるほどの金額にはならないということです。
■利回りの数字を追うことに意味はない
本書では「利回り100%」とお伝えしています。利回り100%とは、投資額を1年で回収することです。が、私たちは「利回り100%」にこだわっているわけではありません。利回り30%でも魅力的な取引はあります。
実際、空き家を相場より大幅に安く購入することを目指した結果、利回り100%はごく当たり前ですし、最も高いと2000%という物件もありました。
さらには「お金をもらって空き家を引き取る取引」もあります。そうなると利回りは計算できません。
たとえば、100万円をもらって物件を手に入れて、諸費用が30万円かかったなら、物件購入時にすでに70万円の黒字になるということです。このように利回り計算ができないケースも少なからずあるため、利回りの数字を追うことにほぼ意味はありません。
大切なのは、「投資したお金が何年、あるいは何カ月で回収できるビジネスなのか」ということ。今は一寸先が見通せない時代です。世の中の変化が早いため、何年も、何十年もかけてダラダラと投資額を回収するようなビジネスでは、リスクが大きいのです。
前述したように、普通の不動産投資だと利回り10%(=10年で回収)で満足する人が多いですが、そうした考え方とはまったく違うのが、この投資法なのです。
空き家ゼロ円投資では、利回りの数字だけではなく、実際に手元に残るお金や、投資したお金を回収する期間に注目する。
椙田 拓也
一般社団法人マネー総合研究所 代表理事
カネコ ツトム
中小企業診断士
↓コチラも読まれています
ハーバード大学が運用で大成功!「オルタナティブ投資」は何が凄いのか
富裕層向け「J-ARC」新築RC造マンションが高い資産価値を維持する理由