日本で就職を希望するインドの人たち(インド南部の州都、ベンガルールにて)

少子・高齢化に伴う労働力人口の減少を受けて、人手不足が深刻さを増している。新型コロナウイルスの感染拡大が一服し、国内外が「アフターコロナ」の経済を模索する中、企業間の優秀な人材の獲得競争はさらに激しくなりそうだ。外国人人材のマッチング事業などを手掛ける全研本社は8月、企業の人事担当者などを対象に外国人の採用についてのアンケートを実施した。同社の岡田知子・管理本部経営企画部リーダーが内容を解説する。

外国人人材の採用に「興味ある」は45%、「興味なし」10ポイント超も上回る

 

 

全研本社が実施した日本企業の採用担当者を対象としたアンケート調査によると、「外国人の採用に興味がある」と回答した企業が半数近くに達し、3割強だった「興味がない」を大きく上回った。少子・高齢化を背景とした労働力不足や優秀な人材の獲得競争の激化を受けて、外国人を雇用したいとの意欲が高まっていることが浮き彫りになった。

 

調査は全研本社が企業の人事・労務など採用担当者を対象に8月19~21日に実施し、200件の回答を得た。回答した企業の従業員数は500名以下が42.5%、500名超~1000名以下が15.5%、1000名超が42%。業種は製造業が最も多く、サービス業、金融・保険、情報・通信、流通・小売業、教育・医療サービスなどが続いている。

 

アンケートでは「外国人人材の採用に興味がありますか」との質問に対して、「興味がある」と回答した企業の比率は45.5%にのぼった。一方で「興味がない」との答えは35%にとどまった。「どちらでもない」との回答は19.5%で、今後の状況によっては外国人人材の採用に興味を持つ可能性もあるとみられる。

外国人採用をしたい理由、断トツのトップは…

 

「外国人人材の採用に興味がある」と回答した企業に理由を複数回答で尋ねたところ、断トツで回答が多かったのは「優秀な人材を確保するため」だった。回答の比率は全体の68.1%にのぼり、大半の企業が人手不足の中で、単なる数合わせではなく、有能な人材を外国人から採用したいと考えていることが明らかになった。

 

次に回答が多かったのは「外国語が必要な業務のため」で46.2%に達した。英語などの外国語の専門的な知識やスキルを必要とすることが、外国人の採用に向かわせている。「人手が不足しているため」との回答も全体に占める比率が42.9%と高かった。「海外とのつながりを強化するため」「新たなビジネス展開のため」との回答も3割程度に達し、日本企業が外国人人材の語学能力や海外での人脈、専門的な能力などに期待していることがわかった。

「外国人採用に興味なし」の理由は?

 

「外国人人材の採用に興味がない」「どちらでもない」と回答した企業に理由を尋ねたところ、最も回答が多かったのは「社内の受け入れ体制が整っていないため」との回答が全体の33%にのぼり、最も多かった。「外国人の採用実績がないため」との回答の比率も29.4%と高かった。これらの回答は、受け入れ体制が整えば、外国人の採用に前向きになる可能性を示唆している。一方、「すでに人手が足りているため」との回答も27.5%あった。

 

帝国データバンクの4月の調査によると、企業の正社員の人手不足割合は45.9%で、前年同月から8.7ポイントの大幅増加となった。人手不足の問題は新型コロナウイルスの感染拡大によって経済活動が制約され、一時落ち着いていたが、「アフターコロナ」「ウィズコロナ」の様相が強まり、再び企業の経営課題として浮上してきている。今後、日本企業の外国人人材の採用意欲が一段と高まる可能性がある。

 

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