昨今しばしば目にする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉。ビジネス領域でパワーワード化する一方、定義や意味の理解が追い付いていないようにも見受けられます。ここではDXの定義や最新動向のほか、中小企業への導入における具体的な取り組み方法を解説します。※本記事は『中小企業の両利きの経営』(ロギカ書房)を抜粋・大幅に再編集したものです。

「DX推進」実現のための具体的な対応策

具体的に、取り組むべき事項について、簡単に紹介したいと思います。

 

①データ入力のルールをつくる

DXを進める上で基礎となる考えは「入力(収集)したデータを元に分析する」ということです。データは〈分析するために入力〉しており、そのためには〈データの入力方法について社内で統一する〉必要があります。

 

データ入力に関しては、令和2年12月に総務省より発表された「統計表における機械判読可能なデータ作成に関する表記方法」(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01toukatsu01_02000186.html)が参考になります。

 

この資料では、Excelデータを取り扱う際の注意点が、具体的に15点ほど書かれています。Excelを使っている企業は多いと思いますので、ぜひ参考にして頂ければと思います。データを迅速に正しく分析するには、データが正しく入力されていることが最も重要であり、社内で共有し入力を徹底することが必要です。こういったプロセスを経て、データを活用する組織文化が醸成されます。

 

②ビジネスチャットを導入し、コミュニケーションをデジタル化する

ビジネスチャットを利用することで、社内の主たるコミュニケーションをデジタル化(テキスト化)することが重要です。

 

テキストでのコミュニケーションは、書き手に論理性が求められ、簡潔に要点をまとめなければなりません。会話は双方の時間をリアルタイムで消費しますが、チャットであればパソコンやスマートフォンを使い、場所や時間を問わず自分の好きなときに確認できます。また、やり取りは履歴として残るので、実行まで含めて透明化されやすいです。

 

ビジネスチャットを使うからといって、対面コミュニケーションをなくすわけではありません。どちらも効果的に使うことが重要です。会話したあとに、その内容を備忘録的にテキストで送るなどのハイブリッドな活用もできるはずです。

 

ビジネスチャットの導入をきっかけに、主たる社内コミュニケーションをデジタル化(テキスト化)し、その先のDX推進に繋げていきます。それには経営者が「今後DXを推進するために、業務のデジタル化に取り組む」という意思を伝えることが重要です。

 

③データをすぐに出力できるようにする

前述の通り、DXを推進する上で重要なのはデータであります。必要なときに必要なデータを取得できることが求められます。例えば、直近の受注データや顧客情報などはすぐに用意できないと意味がありません。

 

具体的に言うと、

 

●データが速やかに出力できること(3時間以内)

●加工しやすい形式で出力できること(csvやExcel)

●出力した2つ以上のデータを加工し分析できること

 

が求められます。

 

経営者がデータを必要とするのは、戦略を決定(意思決定)するためであります。意思決定までかかる時間は、「データの取得(3時間)」「データの分析(3時間)」「意思決定(2時間)」の、合計8時間(1日)を基準として考えましょう。

 

基本的には、意思決定までのリードタイムは1日を基準とするのです。リードタイムを短くし、戦略変更の試行回数を増やし、フィードバックにより改善回数を増やすことが大事です。意思決定までのリードタイムを1日にできれば、競合と比べても高い競争力を持つことができるでしょう。

 

このような、データを活用した経営がDX推進する上で重要になります。経営者がデータの重要性を理解し経営に臨むと同時に、従業員もデータの重要性を理解し、それを事業活動に活かすようになることです。

 

最近の言葉でいうと、データドリブン企業(データをビジネス判断の根拠とする企業)になることであります。データを重要とする考えやデータを扱うスキルを、組織として持っていると、それ自体が競争優位になり、組織の持続的成長に繋がります。

 

各企業、DXへの取り組みはさまざまだと思いますが、上記のなかで参考になることがあったら、ぜひチャレンジしてみてください。

 

 

須永 達也
グレート・コンサルティング合同会社
DXコンサルタント
中小企業診断士
認定経営革新等支援機関

 

事業承継支援コンサルティング研究会
 

中小企業の両利きの経営〈未来を創る10の視点〉

中小企業の両利きの経営〈未来を創る10の視点〉

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未来を創る10の視点――「既存事業の深掘り」「新規事業の探索」中小企業だって“両利きの経営”を実践できる! 本書は、東京都中小企業診断士協会認定「事業承継支援コンサルティング研究会」における「第2回書籍出版プロ…

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