昨今しばしば目にする「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉。ビジネス領域でパワーワード化する一方、定義や意味の理解が追い付いていないようにも見受けられます。ここではDXの定義や最新動向のほか、中小企業への導入における具体的な取り組み方法を解説します。※本記事は『中小企業の両利きの経営』(ロギカ書房)を抜粋・大幅に再編集したものです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とはなにか

DXが日本で取り上げられるようになったきっかけは、経済産業省が平成30年に公開した「DXレポート」です。DXレポートでは「ITシステムの技術面での老朽化などのブラックボックス化」と称して、この問題を放置すると「2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる」と問題提起しました(2025年の崖)。

 

それ以降、経済産業省は、DXレポート2.0(令和2年12月)、DXレポート2.1(令和3年8月)、DXレポート2.2(令和4年7月)と毎年公開しています。

 

経済産業省ではDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。

 

筆者なりの解釈としては「データとデジタル技術を自社の強みにできているか」が重要と考えます。

「データ」と「デジタル技術」の活用

デジタル技術の普及により、技術革新が加速し、顧客ニーズの変化も早まるなど市場環境が劇的に変化しています。

 

環境変化にいち早く対応するためには、データを分析しビジネスとITシステムを迅速かつ柔軟に対応させる必要があります。社内のビジネス部門とIT部門が一体となり戦略立案を行い、新たなビジネスを創出していくが重要となるのです。例えば、業務上の各種データを根拠に新しい施策に取り組み、その結果をデータで検証し改善活動に繋げます。戦略立案と検証を何度も繰り返し、ビジネスモデルを創出していくのです。

 

デジタル技術の進歩によって各種データを速やかに得られるようになり、その量と質はそれ以前と比較にならないほど増加しました。データを活用し、意思決定までのリードタイムを短くすることが、ビジネスの競争力に繋がります。

 

デジタル技術を活用しビジネスモデルを変革、デジタルビジネスを創出できる企業こそが「DX企業」だと言えるでしょう。

 

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中小企業の両利きの経営〈未来を創る10の視点〉

中小企業の両利きの経営〈未来を創る10の視点〉

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