中小企業に求められる「未来へ向けた、多角的な視点」
中小企業が新規事業を構想する際には、企業それぞれに様々な背景があるに違いありません。このため取り組み初期の段階で、多角的な視点を認識し、最適なアプローチを取ることが重要と考えられます。
書籍『中小企業の両利きの経営』では、多くの著者が得意分野に基づく10の視点を提供しています。そのなかで、土台となる考え方は下記の①~④、(内部での)実践的な視点は⑤~⑧、外部連携的な視点は⑨~⑩となります。
【土台となる考え方】
①成長戦略の必要性
②組織のあり方
③イノベーション戦略
④見えない資産活用
【実践的な視点】
⑤新事業創出の5ステップ
⑥新事業開発手法
⑦第二創業
⑧DX戦略
【外部連携的な視点】
⑨フランチャイズ契約活用
⑩M&A
ここでは、上記視点のなかから重要な3項目について説明しましょう。
新規事業開発手法:「デザイン思考・仮説検証」の活用
新規事業開発と言っても、どこから手を付けたらよいかわからない、あるいは迷ってしまうという方も少なくないと思われます。具体的なアプローチ方法として「デザイン思考」「仮説検証」の考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。
◆デザイン思考アプローチ
デザイン思考アプローチは、優れたデザイナーが日常的に使用している、「人の行動を深く観察する」「ブレーンストーミングで大量のアイデアを出す」「素早くプロトタイプ(試作品)をつくる」といった手法を事業開発に応用するものです。
まずは顧客の行動を深く観察、共感し、そこに隠されたニーズや秘められた価値を見出します。
次に、なぜその人がそのような行動を取るのかという洞察を行い、課題へ変換します。出てきた課題に対しては、ブレーンストーミング等によりなるべく多くのアイデアを出し、有望なアイデアがあったら、手軽な方法で短時間にビジュアルイメージ(試作品)をつくります。
そして、人々の反応を確かめ、取捨選択の上、改善に向けてこれらを繰り返すのです。優れた商品やサービスを得ていくために有効な方法と考えられます。
◆仮説検証アプローチ
仮説検証アプローチは、仮説をもとに最低限の機能をもった製品・サービスを提案し、顧客の反応を見ながら改善もしくは方向転換を行うアプローチです。
大規模な事前調査をしないので、コストや時間を節約することができます。「小さく始めて、素早く、大きく育てる考え方」として活用していくと良いでしょう。