学生時代、成績が振るわなかった人でも大丈夫
■直近の試験の合格率
最初に気になるのは、各試験の合格倍率かと思われます。直近の合格率は、下図の通りです。英語力や実務経験などの要件によって受験者がある程度、限定される米国公認会計士試験と1級建築施工管理技士を除けば、いずれの試験も倍率は5倍以上。社会保険労務士試験が12倍以上、行政書士試験や土地家屋調査士試験が10倍弱となります。
一般的に高校入試は2~3倍、大学入試の平均競争率は数倍程度に収まることが多いので、この数字だけ見るととてつもない難関だと思う人も多いかもしれません。
しかし、高校や大学入試では、模擬試験で偏差値が明示されるので、合格できる可能性が低い高校や大学を受ける人は少数でしょう。それに対して資格試験では、模擬試験などを受けない人もいて、くわえて関連する実務に就いているというだけで受験する人も多いので、本当に勉強してきた人の中での競争率はそれほどでもないのです。
ただし資格試験でも、これよりランクが上の税理士試験や公認会計士試験になると様相が異なり、経理の仕事だからといって受けるような人はいないでしょう。本気で勉強した人達との競争になります。
とはいえ、大学入試で希望の大学に入れなかった人などは、過去の経験からとても合格できないと考えるかもしれません。
でもご安心ください。大学入試と資格試験は、同じ試験でも性質が異なるので別物といえます。どちらが難しいということはなく、資格試験にはならではの難しさがあるので難易度が高い大学を卒業したからといって、必ずしも有利とは限りません。あるいは大学に進学しなかった人でも特段の不利となることはないのです。以下、その理由を説明します。
■大学入試は積み重ねに対して資格試験はゼロからスタート
大学入試の主要科目である英語や数学は、中学校からの積み重ねがものを言います。中学から高校まで5段階評価で3と4を行ったりきたりしていた普通の高校生が、高3になって猛勉強を開始しても、今まで成績のよかった人を追い抜くことは難しいでしょう。中学の時点でつまずいたり、不確実にしている部分があったりすると、なかなか点数が伸びないからです。
それに対して資格試験では、学校で習わない内容が出題されます。例えば、社会保険労務士試験の重点科目である年金について学んだことがある人は極少数。つまり全員がゼロからのスタートになるのです。
法律系の資格である行政書士や宅建士の試験は、法学部出身者が有利であるように思われますが、大学の授業で学ぶ内容と試験内容は異なりますので、必ずしもそうとは限らないのです。