(※写真はイメージです/PIXTA)

亡き親がどのような遺産を残していったのか。生前から家族で話し合って準備をしていればまだしも、相続財産のすべてを把握するのは想像以上に難しいものです。本稿では、相続財産のうち、土地や建物といった不動産を漏れなく確認する方法を見ていきましょう。司法書士・佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)が解説します。

⑤公図をとって隣接地の登記簿謄本を調査

5つ目は「公図」を確認する方法です。法務局で公図を取り、隣接地の登記簿謄本を調査する、ということを行います。

 

なぜ公図の調査を行うかというと、道路の持分などを持っている場合、この部分をどうしても見落としがちだからです。

 

公図は地図になっていて、そこに数字がいっぱい書いてあります(図表3)。これらの数字はすべて土地の地番です。

 

出典:法務局
[図表3]公図(見本) 出典:法務局

 

公図上で相続した土地を見てください。たとえばそこが道路に接していたとしたら、そこの登記簿謄本を取りましょう。すると被相続人の名義が入っていたり、持分があったり…ということがたびたびあるんですね。そうすればその部分も遺産に含まれますから、そこの把握漏れをなくすためにもきちんと公図を取って、調査をしていくことになります。

 

【公図を取って隣接地の登記簿謄本を調査】

◎私道部分などの確認

◎隣接地に土地を持っている場合もある

⑥マンションの場合は「共用部分」も含めて謄本請求

6つ目は、不動産がマンションである場合に限った方法です。マンション、いわゆる「区分建物」では共用有部分に関する登記簿謄本の調査を行います。

 

亡くなった方がマンション住まいで、マンションの登記簿謄本を取る際には、法務局で「共用部分の登記簿謄本もあればください」と請求してください。共用部分について法務局が把握していれば出してくれます。そうすれば、共用部分に持分があるかどうかを確認できますね。

 

共用部分とは、マンションの駐輪所や集会所、管理室など、他の部屋の人たちと皆で持っている部分です。

 

最近のマンションではあまりないのですが、昔は共用部分だけ持分を別に持っていることもありました。持分がある場合にはそこも必ず遺産分割の対象になりますし、相続登記の手続きを行わなければいけません。メインの部屋だけ名義を変更したけれども、持分のある共用部分を置き去りにしていたというケースが発生してしまいます。そうならないようにするために、法務局で登記簿謄本を調査しましょう。

 

共用部分の登記簿謄本を取れたら、「規約共用部分」の登記がされていないかを確認します。この規約共用というのは、マンションの規約の中で設定するものです。

 

規約共用の登記がされていれば、メインの部屋の所有権を移転した際にその共用部分も一緒に移転させることができるので、特に手続きはいりません。

 

しかしこの規約共用の設定がされていなければ、メインの部屋と共用部分は別個で名義変更などをしなければいけません。その漏れを防ぐためにも、共用部分の登記簿謄本をきっちりと確認し、規約共用の設定がされているかどうかを確認しましょう。

 

【マンション共用部分の謄本請求】

◎駐輪所、集会所、管理室などの共用部分に持分を持っていることがある

◎共用部分の登記簿謄本が取れたら、規約共用部分の登記がされているかを確認する

 

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