(※写真はイメージです/PIXTA)

司法書士・佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)が、相続不動産を例に4つの遺産分割方法について解説します。

遺産分割にはどんな方法があるのか?

今回は4つの遺産分割方法と、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

今ちょうど相続が発生していて遺産分割協議をしなきゃいけないとか、将来相続が起こったときのために予習しておきたいという方はぜひ最後までお読みいただき、ご参考にしていただければと思います。

①現物分割

1つ目は「現物分割」です。これは名前のとおり、遺産を現物のまま分割し、分配する方法です。

 

たとえば「甲」という土地を相続人Aさんが、「乙」という土地を相続人Bさんがそれぞれ取得するという形です。

 

現物分割のメリットは、相続人1人が単独で不動産を取得できるため、後々の管理や売却がラクになる点です。不動産を共有状態で相続してしまうと、管理していく上で別の共有名義人の方に了承を得なくてはならないなど、いろいろ大変になってしまいます(詳しくは後述)。

 

また、「この土地は誰のもの、あの土地は誰のもの」というように取得するので、遺産分割のコストが小さいという点もわかりやすいメリットですね。

 

デメリットとしては、不動産の価値に偏りがある場合、公平性に欠くことになるという点です。たとえば「甲」という土地は割と広くて立地も良いのに、「乙」という土地はちょっと小さかったり立地が悪かったり…という場合には、やはり不公平感が出てしまいます。現実ではそれぞれの相続不動産の価値がぴったり同じになるというのはなかなか難しいので、このようなデメリットが生じ得ます。

②代償分割

続いて、2つ目は「代償分割」です。相続人の一部が遺産を取得して、他の相続人に対し自分の財産から金銭を支払うという方法です。たとえば相続人Aさんが相続不動産を単独で取得する代わりに、もう1人の相続人Bさんには現金1000万円を支払うという形です。

 

代償分割のメリットは、金銭によって相続人間の公平を図ることができるという点です。

 

AさんとBさんの相続順位が同じであれば、同じだけの相続分を持っています。不動産の価値が2000万円の場合、その不動産を取得したAさんがBさんに対して1000万円を支払うことで、Aさん・Bさんがそれぞれ1000万円分の遺産を取得したことになり、平等に相続できることになります。

 

デメリットとしては、遺産分割後に代償金が支払われない等のトラブルが起こる可能性がある点です。たとえばAさんが不動産を取得したのに、Bさんに代償金を支払わなければならないのに約束を守らない、ということですね。ですから、きょうだい間の仲が悪いといった場合にはあまり適さない方法となります。代償分割は相続人どうしが信用に足る場合に考えうる選択肢かと思います。

③換価分割

3つ目は「換価分割」です。相続した遺産を売却して現金に換え、そのお金を相続人どうしで分配するという方法です。

 

たとえば土地を売却して、相続人A・Bがその売却金を50%ずつ取得する、といった取り決めの仕方です。

 

換価分割のメリットは、相続分に応じて分配することが容易なため、公平性を確保しやすい点です。お金に換えるため、1円単位で綺麗に分けることが可能です。これが最大のメリットです。

 

反対にデメリットとしては、売却の手間やコストがかかるという点です。売却ありきの手続きになるため、やはり面倒な部分も生じてしまいます。また、コストという点でも、不動産会社の人に依頼をしたり、測量したり、古い建物がある場合は解体したりなど、そういった費用がかかってきます。

④共有分割

4つ目は「共有分割」です。これは遺産を共有で相続する方法です。たとえば、1つの土地を、相続人A・Bが2分の1ずつの割合で相続するという形です。

 

メリットは相続の手間がまったくかからない点です。

 

デメリットとしては、不動産が共有状態になるため、管理や処分をするにあたっては共有者の同意が必要になる点です。

 

共有状態だと、何をするにしても相手方の協力が必要です。売却しようにも、共有者の1人が嫌がってしまうと何もできません。最も厄介なのは、共有者が認知症で判断能力が低下したり、交通事故等で意識不明になったりすると、いわゆる「資産凍結」といって不動産を動かせなくなってしまうことです。資産凍結状態を解決するには成年後見制度などを使わなくてはいけません。

 

このようなリスクをはらむことから、私は共有分割をおすすめしていません。やむを得なかったり、もう少ししたらその不動産を売却する予定であったりなど、場合によっては共有分割を使うこともあるでしょう。とはいえ、きょうだい間など関係性の近い相続人であっても、将来何があるかはわかりません。ですから共有分割はなるべく避けたほうがよい方法ではないかと思います。

 

以上、今回は相続不動産を例に、4つの遺産分割方法について解説しました。それぞれの方法のメリット・デメリットを知り、適切な遺産分割にお役立てください。

 

【動画/4つの遺産分割方法のメリットとデメリット】

 

 

佐伯 知哉

司法書士法人さえき事務所 所長

 

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